学長室だより

2005年6月24日号

高村たかし様より『花びらの声』(文芸の森社、5月刊)という新刊本を頂戴した。朝一番の仕事として、この絵本を読んだ。英文とあわせて、味わいながら。小さい白い蝶が、大きな黄色い蝶の親切に、はじめは知らんぷり。それが黄色の蝶のやさしさを受けて、大きくなり、逆に他の蝶たちを危険から救うようにまで、育つ。「よかったね、黄色い蝶さん。」それは「花の精」の声であった。
共生社会へのアプローチ、さらには国際協力への理解をも求めて、この絵本をつくった、と高村氏は書いてくださった。この種の思いを満たした絵本を、氏のお求めにしたがって、図書館に収めようと思う。今はやりのIT本、パソコン本、マンガ本に接する前に、若者たちは、人そのもの心のやさしさに触れてもらいたい。ことばの美しさと絵の世界の美しさを通して。(新井 明)