学長室だより

ルツとナオミ・その3

ルツは落ち穂拾いに出かけますが、たまたまそこはボアズという人が所有する畑地であったと聖書は記しています(ルツ記2章1節)。彼はエリメレクの親戚の一人でした。神の不思議な導きで、ちょうどその折に畑の主人であるボアズが見回りに来て、農夫を監督している召使いに「そこの若い女は誰の娘か」と聞いています。
召使いは「モアブの野からナオミと一緒に戻ったモアブの娘です」と答えています。この言葉には「あの隣国モアブからやって来た女だ」という、蔑視した響きが込められています。刈り入れをする人たちの後について落ち穂を拾い集めさせてくださいと願い、朝から今まで立ち通しで働いておりましたが、小屋で一息入れているところです、と彼は報告している。
落ち穂を拾っている彼女を見て、ボアズはルツに「わたしの娘よ、よく聞きなさい。ここから離れることなく、わたしのところの女たちと一緒にここにいなさい」と勧め、若い者には邪魔をしないように命じておこうと語っています。ボアズは飲み水のことまで親切に彼女に教えています(8節~9節)。
彼らから三代後に、ベツレヘムでダビデが誕生することになるのですが、これが二人の運命的な出会いでした。(鈴木 佳秀)