学長室だより

ルツとナオミ・その17

ルツのひたむきな告白をボアズはどう受けとめたのでしょうか。「わたしの娘よ。どうかあなたに主の祝福があるように」と声をかけています。神の祝福を祈りつつ、「今あなたが示した真心は、今までの真心よりまさっています。わたしの娘よ、心配しなくていい。きっと、あなたが言うとおりにします」とボアズはルツに語ります(ルツ記3章10節~11節)。
「真心」の原語はヘセドです。ボアズはどこにルツの真心を読み取ったのでしょう。最初のヘセドは、ルツが自分の故郷を捨ててナオミに従い、見ず知らずの土地に渡ってきて彼女に仕えていることを意味しています(2章11節)。第二の真心について、ボアズはルツの求愛行為をそう理解したと考えることは可能ですが、少し説明が必要かもしれません。
レヴィラート婚の責任者はナオミなのです。しかしルツが側にいなければ、それはできない相談でした。ナオミが実家に帰るなら、夫エリメレクの土地は親戚の誰かが担うことになります。ルツの幸せを願いナオミは大胆な計画を考えたのですが、ルツにナオミを慕う心がなければあり得ないことです。ナオミを慕うルツの真心が自分にも向けられている、とボアズは感じたのです。もちろんヘセドには思慕の想いも含まれます。(鈴木 佳秀)