学長室だより

ルツとナオミ・その8

ボアズの名を聞いてナオミは「その人はわたしたちと縁続きの人です。わたしたちの家を絶やさないようにする責任のある人の一人です」(ルツ記2章20節)と語っています。霊感に打たれたようにナオミが感じたのは、神の導きの不思議さからでしょう。「責任のある人の一人です」という言葉には、最後決定的ではないけれどもしかし、という気持ちがにじみでています。ボアズにルツを引き合わせて下さった神が、これからどのように導かれるかはまだ分からないからです。この奇跡的な出会いには、信じるに値する可能性が含まれていたことは事実です。ナオミの感激は「わたしたち」と二度も口にしていることに表れています。姑と嫁というより二人は母と娘なのです。
ナオミが何を考えているのかを知らないまま、ルツは「その方はわたしに、『うちの刈り入れが全部済むまで、うちの若者から決して離れないでいなさい』と言って下さいました」と答えています(21節)。「わたしの娘よ、すばらしいことです。あそこで働く女たちと一緒に畑に行けるとは。よその畑で、だれかからひどい目に遭わされることもないし」と語るナオミの言葉から、ほっとした気持ちに、神への感謝の思いが入り交じっているのが分かります(22節)。(鈴木 佳秀)