チャペルのひびき

弱さの中に宿る価値

チャペル・アワーにおいては、藤野豊先生(本学教授)が「“強さの脅威”に抗して」とのタイトルのもと、宗教の本質について教えてくださいました。宗教の本質は、弱さに即して生きること。「強いこと」に重きが置かれ、強きことを誇示し、強さによって脅しをかけ、弱き者たちが踏みにじられてゆくこの世の原理(現実)に対して、宗教は「弱きこと」の中に宿る価値に重きをおきます。自らの弱さを見つめ、その弱さに即しながら、弱き人々に寄り添いつつ、歩むこと。その歩みを通して、暗き世界に光を灯してゆくことにこそ、宗教の意義があるのでしょう。聖書においても、「弱さ」の大切さが説かれています。「力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのです」(コリント信徒への手紙Ⅱ 12:9)。宗教の持つこの逆説的な真理を受け止めてほしいと願います。アッセンブリ・アワーにおいては、新任にお二人の先生、主濱祐二先生と長坂康代先生が、ご自身の歩んでこられた歩みについて、またご専門について、お話しくださいました。自らの価値観を相対化しつつ、異なる価値観を持つ人々との間に橋を架けることの大切さをお二人とも教えてくださいました。敬和学園に素晴らしい先生方をお迎えできたことを幸いに思います。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「“強さの脅威”に抗して」 教授 藤野豊 先生
20180601チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話1 新任教員スピーチ
「私を変えた体験:アジア・震災」 准教授 主濱祐二 先生
20180601チャペル・アッセンブリ・アワー2

「私が「文化人類学」から学んだこと」 准教授 長坂康代 先生
20180601チャペル・アッセンブリ・アワー3

講話2 「国際交流ファシリテーターの説明」 英語文化コミュニケーション学科3年 長谷川裕斗 さん、国際文化学科3年 清水華恋 さん、国際文化学科2年 松澤涼香 さん
20180601チャペル・アッセンブリ・アワー4

<参加学生の感想>
感想1) 弱い人に寄り添える人になりたいと思った。弱い人に寄り添いたくても自分が強い立場にいる場合は、弱い人のことを考えるのは難しいことなんだと思った。それでも人のことを考えるのは大切なことだと思うし、一人ひとりの心を大切にできる人になりたいと思った。
感想2) 私は小・中学生時代、いじめの被害者だった。加害者が一番弱く怖がっていたこと、彼らと仲よくしていた時期もあり、悪い人たちではないことも分かっていた。それ故に、彼ら彼女らが友達「だった」人をここまで迫害できるのかととても残念でした。私は全ての人が信用できなくなりました。最近、友人から「強いね」と言われた。自分では分からないが、友人がそう思ってくれている。いじめられて毎日泣きながら帰っていた私は、いつの間にか友人に恵まれ、「強い」と認められていた。今度は私が弱い人を強い人に、強い人を優しい人に変える番だ。
感想3) 主濱祐二先生のお話を通して、外国や留学について考え直すことがありました。イギリスへ留学をしたいと思い、よい面しか見ていませんでしたが、文化や宗教の違いから時には嫌な思いもするかもしれません。下調べをやり直したうえで、異文化理解を深めたいと思います。
感想4) 長坂先生のお話を聞いておもしろくて、自分の価値観だけで物事を判断しないようにしたり、自分視野を広げることができる行動をしていきたいと思いました。