チャペルのひびき

この世に要らない人間など一人もいない

チャペル・アワーは、辻元秀夫先生(敬和学園高校教諭)をお招きし、ご自身の30年にわたる教員生活を総括するような貴重なお話を伺うことがゆるされました。特に敬和学園の教育の特質について、ご自身の経験に基づく多彩なエピソードを交えながら、熱く語ってくださいました。偏差値教育に代表されるような人に優劣をつけてゆく尺度とは異なる尺度のもとで営まれているのが敬和学園のキリスト主義教育であること。その根幹にあるのは、すべての人間は神によりこの世に生を与えられた尊い存在であり、この世に要らない人間など一人もいないということ。それぞれに異なる個性とたまものを持っているが、その違いは優劣ではないということ。それらの個性とたまものを持ってこの世界で果たすべき役割と使命を一人ひとりの人間が神より与えられていること。キリスト教主義教育は、こうした考えのもと、多様性を尊重する寛容な人間を育むことに重きを置いていることを教えてくださいました。アッセンブリ・アワーにおいては、田中利光先生(学習支援センター長)が「障害者差別解消法」との関連で、障がいを持った方々に寄り添い支援するうえでの大切なことを教えてくださいましたが、辻元先生のお話とのつながりにおいて、より深き次元において(単に法律であるからということを越えて)、この問題を受け止めることのできたことは幸いでした。その後、ノートテイクのボランティア活動に携わる学生たちの体験談を聞く時間を持ちました。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「敬和学園30年」 敬和学園高等学校教諭 辻元秀夫 先生
20180525チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「障害者差別解消法について知り、見えない「障壁」について考える」 学生支援センター長 田中利光 先生、キャンパス・ソーシャルワーカー 清野いずみ 先生
20180525チャペル・アッセンブリ・アワー2

20180525チャペル・アッセンブリ・アワー3

<参加学生の感想>
感想1) 辻元先生のお話はとても面白かったです。価値観は一つではなくさまざまに存在し、時代などで変わっていくものと改めて理解しました。どんな人に対しても、価値観を分かち合い、自分の価値観を絶対視するべきではなく、相対的に見るべきだと思いました。絶対的な価値観は存在しないという辻元先生の言葉に納得しました。辻元先生のジャングル学年の話はとても面白く、感動しました。
感想2) 辻元先生のお話を聞いて、この世に要らないものはないということの意味が分かりました。人の評価や社会の評価に関係なく、自分の信念を信じて生きていきたいと思いました。お金がなく、貧乏でも、愛を信じて生きるというのはとてもステキな考えだと思うし、たった一人の人を助け愛せる人間になりたいと思いました。
感想3) 辻元先生のお話を聞いて、「その人間の持つ価値観やものさしは、幼いころから知らないうちにその人にすり込まれている」という言葉には納得したと同時に怖くもなりました。「この世に存在するもの全ては神さまに愛されている」この言葉をしっかりと胸に刻んで。
感想4) 田中先生から「障害者差別解消法」を中心に共生に関するお話を聞きました。このような法律がきちんと整備されたのにもかかわらず、相手のことを「知らないから」「怖いから」と避けたり、手助けを行わないというのは正直おかしいと思います。知らないのなら積極的に関わりを持ったり、学んで知識を得る必要があると考えました。知識があることで少しずつ偏見が減っていくような気がします。