学長室だより
2008年7月4日号
吉田新一先生(立教大学名誉教授)が5月につづいて、この6月も21日(土)、22日(日)と二日、敬和学園にお越しくださり、「英米絵本のたのしみ 2」のお話をしてくださった。吉田先生は児童文学研究の第一人者。今回はモーリス・センダック(1928-)、マリー・ホール・エッツ(1893-1984)、エズラ・ジャック・キーツ(1916-1983)が中心であった。絵本のことばを、スクリーンで絵を見せながら読み解く作業は、まさに名人芸であった。一流作家の絵とことばには、一点の無駄もない。はじめ、つまらぬシミかと思われるものが、どこかで生きてくる。その世界にムダはないのだ。楽しそうに語る吉田先生とともに、120余名の聴衆 -多くはおトシの皆さまがた- が、心を癒され、童心に帰り、笑いに引き入れられる。敬和の小さな森が、絵本の世界に引き入れられたかの思いであった。(新井 明)