学長室だより

2008年6月27日号

「私の逸品展」というものが、新発田市観光振興課のお声がかりで行われている。どこか一ヶ所で大々的に行なわれているというのではなく、市内各所で、各所こじんまりと展覧しているところが、新発田らしくていい。まちの駅、たまり駅、市島酒造、市内の商店街の店々、地域交流センター、等々。敬和学園も新発田学研究センター、つまり中央町の「まちの駅よろず」で教職員、学生たちのお宝を出している。
「べっこうと螺鈿(らでん)の櫛」があるかとみれば、沖縄の「三線」が立つ。アイレスフレックスZ型の古き写真機が座っている。よほど大事なものなのであろう。小さく「ベルリンの壁」とあるから、なんだ? と思って、よく見ると、ベルリンの壁の一角を、それも米粒大の破片を採ってきて、飾ってある。三浦綾子・光世の小説が並んでいる。署名入りなので、展示に値するものであるらしい。ちかくにボロボロの英訳聖書がある。1947年に鶴岡の牧師さんから頂戴し、その後の人生を変えたと告白する人士の、これこそ「お宝」のボロボロだ。高名な画家・石河(いしこ)光哉の中国の風景画が目につく。深き故あって愛知県犬山市から移ってきた作品である。人みなそれぞれの人生がある。逸品は出品者の過去を語っている。(新井 明)