学長室だより

ルツとナオミ・その1

旧約聖書にルツ記という美しい書があります。ルツ〔「友」の意?〕はナオミ〔「わたしの歓び」の意〕にとって嫁でした。ナオミは夫エリメレク〔「神は王なり」の意〕と共に、飢饉で荒れた故郷を離れ、二人の息子を伴い隣国モアブの地に出稼ぎに向かうところからルツ記は始まります。夫が亡くなった後、ナオミは二人の息子を育てながら必死に生活していたのですが、二人の息子も死んでしまいます。二人の嫁たちがナオミと共に残された時、ナオミは故郷のベツレヘムに帰る決心をします。
ナオミは嫁たちに、自分の母の家に帰りなさいと勧めるのですが、嫁たちはナオミから離れず、一緒に付いて行きますと言うのです。この時、ナオミはレヴィラート婚を念頭に「あなたたちの夫になるような子供がわたしの胎内にまだいるとでも思っているのですか」(1章11節・新共同訳)と語り、二人をモアブの実家に帰そうとしました。
ルツだけは「あなたの民はわたしの民。あなたの神はわたしの神。あなたの亡くなる所でわたしも死にそこに葬られたいのです」(1章16節~17節)と訴え、彼女はナオミと共にベツレヘムに帰って来ます。嫁と姑の間に深い愛の絆があったことを示唆しています。(鈴木 佳秀)