学長室だより

ダビデの物語・ダビデの台頭史その4

ダビデが到着すると、「立って彼に油を注ぎなさい。これがその人だ」と主なる神はサムエルに命じています。サムエルはダビデに油を注ぎます。ダビデはその時点ですぐに王に推挙されたわけではありません。サウルの場合も同じでしたが、サムエルは積極的に何もせずラマに帰ったと聖書は記しています(サムエル記上16章12節~13節)。サウルのことがあるので、サムエルの心は晴れなかったのかもしれません。
ダビデがこの事をどのように受けとめたかについては記されていません。その代わりダビデがイスラエルを率いて戦うようになるまでのドラマが語られます。この「ダビデの台頭史」は、羊飼いの少年がどのような経緯でサウル王に召し抱えられ、将軍にまで上りつめるかを語るものです。ダビデの宮廷で語り継がれていたものが土台になっていると思われます。
他方、サウル王の目にとまり彼の部下になるまで、平行する二つのドラマが伝承されています。ひとつは竪琴の名手として見いだされ、サウルに仕えるようになる物語(16章14節~23節)。他は、ダビデがペリシテの豪傑ゴリアトを一騎打ちで倒し、その場で王に召し抱えられたという物語です(17章)。