キャンパス日誌
【学生インタビュー】農福連携と地域活性化の実践から課題解決の手法を学ぶ
農福連携では、農業の後継者不足解消と障害者などの社会参画を目指した活動をしています。また粟島では、地域活性化のための新商品の開発を行っています。それぞれ試行錯誤を繰り返しながら、課題解決の手法を学んでいます。 (共生社会学科4年 太田涼介)
敬和学園大学で高校・大学と過ごした7年間の教育、考え方は変わりましたか。
-- 高校・大学とキリスト教の学校なので、地震など何かが起こるたびに、献金やボランティアの呼びかけがあります。それを見ているうちに、誰かを助けるために行動することが当たり前になってきました。身のまわりやニュースなどで何か困っている人を見ると、自然と「助けになりたい」と考えるようになりました。
共生社会学科、特にソーシャルビジネスの分野を選んだのはなぜですか。
-- 共生社会学科を選んだのは、母が福祉関係の仕事に就いており、身近でイメージしやすい分野だったからです。また、外に出かけることが好きなので、地域で活動するソーシャルビジネスの分野が自分に合っていると思いました。
ゼミでは「農福連携」に取り組んでいますね。
-- 農福連携とは、農業の後継者不足と、障害者などの社会参画という2つの課題解決を目指した活動です。ゼミでは、新発田市上三光地区の畑をお借りして、障害者や高齢者の方と一緒に枝豆や蕎麦、エゴマを栽培しています。また、収穫物は、地元の作業所で製品化してもらっています。しかし、自分たち大学生は専業の農家さんのように頻繁に畑に行くことはできませんし、障害者や高齢者の方もそれぞれ特性があって、体の自由が利かない部分があります。そこでたどり着いたのが農薬を減らした自然栽培に近い農法です。収穫率は下がりますが、作業時間や体への負担を減らして、自分たちのペースで作物を育てています。農家さんのやり方をアレンジして作物がちゃんと育つように調整する、その加減の見極めが難しかったです。
「粟島プロジェクト」にも参加していますね。
-- 粟島では地域活性化を目的として、島に自生するアマドコロを使った新商品の開発を行っています。アマドコロを収穫するところから作業を始めるのですが、私たちが粟島にお邪魔した時期が悪かったようで、いくら探しても思うように収穫できませんでした。自然のものなので時期を見て行動することが大切だと痛感しました。収穫後は、根を取り除いたり、水洗いしたり、細かく切ったりと手順が多く、目標としていた粉末化までにたくさんの工程があると知りました。私たちは、アマドコロを使ったブレンドコーヒーを試作しているのですが、個性的な香りをどのように生かすかが腕の見せ所です。一つひとつの作業で試行錯誤を繰り返しながら、理解を深めていきました。
将来についてどのように考えていますか?
-- 就職先については3年生の時から情報収集をしています。夏休みには、埼玉県にある介護用品をレンタルする会社のインターンシップに参加しました。介護する人・される人が増えていく時代に絶対に必要とされる、なくてはならない仕事だということが理解できました。将来は、実際に不自由さを感じているお客さまの課題解決ができるような役割を担いたいと思っています。
担当教員から見た太田涼介さんの成長
太田さんは一見すると物静かで目立たないのですが、実は行動力のあるタイプで、ゼミでは副リーダーを担ってくれました。ゼミ活動の中心となっている「農福連携」と「粟島プロジェクト」は、どちらも活動が多岐にわたる大変なものです。太田さんはリーダーを支えながら、やるべきことをコツコツと確実にこなしてくれました。考えを行動につなげられるところは、彼の最大の強みだと思いますし、これからの人生でもそのまま生かされていくと思います。敬和学園で7年学んだ経験を生かしつつ、現代社会で必要なスピード感と、周囲に柔軟に合わせていく力をさらに身につけて、ビジネスの場でも活躍してほしいです。(共生社会学科教授 趙晤衍)