チャペルのひびき
当たり前ということの中に
敬和学園高校の昨年度の学年主任をなさっておられた浅妻和章先生より、「ルカ福音書」の99匹と1匹の羊のたとえ話を基としたお話を伺うことができました。「一人をもなおざりにしない」、教師と学生の間の人格的信頼関係に基づく教育、これは高校も大学も敬和学園が共通の旨とするものです。でも、実際には、学生一人ひとりの心が、時に、思いも知れぬほど遠く感じてしまうこともしばしば。一人ひとりの心に十分に向き合うことのできなかった後悔と痛みを覚え、神さまに赦しと助けを祈り願いつつ歩むのも、敬和の教師の現実の姿です。
アッセンブリ・アワーでは、今年も絵本作家のエイキ・ミナコ先生お招きすることができました。急性骨髄性白血病という過酷な体験をご自身の糧として、今は絵本を通して、同じような困難な状況にある子供たちに寄り添い、励ましを与えようとする先生のお姿から、今年も多くのことを学ぶことがゆるされました。当たり前ということの中にある幸せを噛みしめながら(言い換えるなら、この世に生かされてあること自体が「有り難きこと」、すなわち「奇蹟」であることに目を開かれつつ)、与えられた人生を一生懸命生きることの大切さを心に刻みたいと思います。(下田尾 治郎)
Ⅰ.チャペル・アワー
説教 「いまを共に」 敬和学園高等学校 教諭 浅妻和章 先生
Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「わたしにできること」 絵本作家・イラストレーター、骨髄移植経験者 エイキミナコ 先生
<参加学生の感想>
感想1) 浅妻先生の話を聞いて、人と人との繋がりの大切さを感じました。誰かと共に学ぶこと、働くことは大変だけど、喜びでもあると思いました。時に迷うこともあると思いますが、共に生活する仲間や先生を信頼し、よい方向へ進めばいいと思います。
感想2) 私は敬和学園高校の出身ではありませんが、浅妻和章先生の温和な語り口に親しみやすさを覚えました。「敬和」は高校も大学もキリスト教の印象が強くあります。私は大学から敬和の校風に触れましたが、穏やかで私たちを教職員の方々が温かく見守ってくださるこの気風は、この大学で新たにキリスト教に触れて感じた温かさにとてもよく似ているように感じています。その温かさは、今日の浅妻先生がお話されていた羊のお話にも感じられました。この温もりに包まれて日々の大学生活を送れることをうれしく思います。
感想3) 小児がんについてのお話では、年間約2,500人が発症していて子どもの死亡原因が第2位であることがわかりました。現在は8割が治るそうですが、その後いろいろと戦わなければならなかったりもするので、大変だと思いました。しかし時代が変わってきているので、医療技術や小児がんに対する理解が深まっていくのではないかと思います。私たち一人ひとりにできることをして、小児がんの患者さんが少しでも幸せになってくれたらいいと思いました。
感想4) エイキ・ミナコ先生の絵本は何度か目にしたことがありましたが、このようにさまざまな困難を抱えていたことを知り、とても驚きました。骨髄移植の際に正常な細胞までも破壊して移植しなければならないという過酷さに驚きました。もし私が中学生くらいの年齢でこのような状況に陥ってしまったら、生きることを諦めてしまうように思います。エイキ先生は本当に強いと思います。エイキ先生の一番大切なものは私たちが精一杯生きていくこと、という言葉の重みを噛み締めて生きて行こうと思います。