チャペルのひびき

出会いこそが、人生を導き、形づくる。

チャペル・アワーでは、田中利光先生(共生社会学科長)が、10月31日の宗教改革記念日に触れながら、改革者たち、とりわけマルティン・ルターが後代に残した遺産について教えてくださいました。1つ目の遺産とは、権威にとらわれることなく自由に発想すること。2つ目の遺産は、ルターの聖書翻訳を通して、ドイツ国民は、自国の言語によって、聖書が読めるようになったこと。また、そのことを通して、国語が整備されたこと。3つ目の遺産は、共同金庫システムが創設され、そのことにより、資産家の資産が必要とする人々(とりわけ学びを続けることの困難さに直面している苦学生たち)に分配されるようになったこと。これらの遺産は、ともすれば、自由が抑圧され、言葉への信頼が損なわれがちな、また、経済的な理由により学びを継続することの困難な学生たちが多数存在する現代社会にとっても、意義を有しているでしょう。引き続くアッセンブリ・アワーでお話しくださった江口和美先生も、お父さまを交通事故で亡くされたことにより、学び続けることの困難に直面された方です。けれども、先生は、交通遺児育英奨学金制度により、学びを続けることが許されました。そして今度は、ご自身がそのような苦学を強いられている若者たちを支える側に回られたのでした。また、そうした活動を通して与えられた出会いが、その時限りのものにならず、不思議な仕方で、先生を今日に至るまで導いてきたとのこと。出会いこそが、私たちの人生を導き、形づくるのでしょう。「聖書」という書物も出会いの大切さを教えています。誰にもまして出会うべき方として、主イエスという方を指し示しながら。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「宗教改革者が残したもの」 教授 田中利光 先生

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 新任教員スピーチ 「ふりかえり思うこと―めぐりあわせ、出会いと無償の愛」 准教授 江口和美 先生 

<参加学生の感想>
感想1) 今日のチャペル・アワーでの田中先生のお話で、「自由な発想の重要性」について改めて大切だなと思いました。田中先生が授業で話すと仰っていた「教員が言っていることを正しいと思わず、自分で調べてみてください。」という言葉が一番印象に残りました。敬和学園大学に入学して一番最初に、この大学は自由に自分で学びたいことを学べるのが魅力の一つだと聞いたのを思い出しました。リベラルアーツにより、学びを広げ、深められるこの大学で、より自分の学びたいことを深めていくためにも、先生が言ったから正しいで終わらせず、なぜそうなるのかを自分で考え直して、調べてみる。そこから自分なりの答えを導き出していきたいと思いました。
感想2) ルターが唱えた正義についての考えを聞いて、自分の行動を振り返ってみると、学んだことについて、自分で考えるということが不足していると思った。私たちの学ぶことには、どれも決まった答えがあると思っているので、教えられたとおりに受け止めればよいと考えていたのだ。しかし大切なのは、その答えを導くために考えたことや、持つ疑問だと分かった。発想力や想像力は、探求心につながるので、小学校から高校までの間で、調べなさい、調べる時には本を読みなさいと言われ続けた理由が分かった。また、自由は努力しないと勝ち取れないし、継続することもできない、というのはとても納得できた。自由というものに甘えている現状を見直して、自由は、より厳しい道を選ぶ余裕がある状態であると思うようにしたい。
感想3) 江口先生のお話を聞いて、人と人とのつながりはあらゆるところにあるというのを学んだ。先生の「つながり」のお話はとてもおもしろく、自分のこれまでのつながりを振り返ってみたいと思った。また、これからのつながりが楽しみになった。はじめに話されていたあしなが育英会の設立までのお話もおもしろかった。はじまりが学生活動だったというのは、今活動に参加している私はとても勇気をもらえた。