ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・ダビデ王位継承史その29[2012-10-26]

「アムノンは床に就き、病を装った。王が見舞いに来ると、アムノンは王に言った。『どうか妹のタマルをよこしてください。目の前でレビボット(『心』という菓子)を二つ作らせます。タマルの手から食べたいのです。』ダビデは宮殿にいるタマルのもとに人をやって、兄アムノンの家に行き、料理をするように、と伝えさせた」(サムエル記下13章6節〜7節)とあり、ヨナダブの策はそのまま実行に移されたのです。「目の前で」とあるのは、アムノンが寝ているベッドから見える、炉のある隣の部屋ということでしょう。父は、息子の仮病を見抜くことはできませんでした。
レビボットは焼いたパンですが、病人用のパンでハート型をしていたのかもしれません。その語源は「心」ですが、恋心を象徴するというよりも、病んでいる心を回復させるために、干しぶどうや蜂蜜などを加えて焼いた栄養価の高いパンだったのです。
王である多忙な父が息子の家を訪れることは日常的なことでなく、病気見舞いは特別な計らいとして受けとめられていました。普通はありえないことですが、人前には出ないうら若き乙女が病のため床に伏している兄を見舞い、彼の養生のために菓子を焼くというのは例外的で、丁重なるふるまいとして許されていたのです。見えるところで妹に作らせるという言葉から、ヨナダブの企みがいかに狡猾であったかが分かります。

ページトップ

メールを送る

このサイトについて | 個人情報について | ソーシャルメディア・ポリシー | 採用情報 | 教職員ポータル