学長室だより

2003年4月11日号

2003年3月20日、北垣宗治氏が学長として最後になさる卒業式に出席しました。その日、イラクに戦争が始まったとの報道がなされ、北垣先生は卒業生を送ることばのなかで、そのことに触れ、聖書のことばを引用されました。 “Be still, and know that I am God.” やさしい英語ですから、憶えておきなさい、と言われて、二度それを引用されました。これは、旧約聖書の「詩編」第46編11節です。式場の聖籠町民会館からの帰途、車の中で、わたしは北垣先生に我々の年代では「汝等しずまりて、我の神たるをしれ」と覚えているところですね、と半ば冗談に申し上げた。不思議なことに、わたしもその日、この詩編の句とほぼ同じようなことばを思い出していたのでした。「エホバ汝等のために戦いたまわん。汝等は静まりて居るべし」(出エジプト記14:14)。エジプト脱出にあたり、モーセが人々を励ましたときのことばです。戦うのは人間にあらず、神その方なのだ。このことばの秘める真理は、なにもイラク戦争にのみ妥当するのではありません。敬和学園大学を巣立ってゆく若人たち、いや敬和学園大学そのものの歩みにも関わることばではないか、と考えながら、帰宅しました。(新井 明)