学長室だより

2003年11月28日号

新発田に住むようになってから、この付近の地理・風物を知るのも、勉強のひとつなり、と自ら言いきかせて、週末には半日ていどの時間をつくって、東西を訪ねることにしている。
新発田は水がおいしい。また、牛乳がいい。その牛乳にひかれて、秋の一日、安田という所へ行ってみる気になった。町に入ってから、この地が吉田東伍の生誕の地であって、記念博物館があることが、標識でわかった。訪ねてみると、東伍生誕の家屋に隣接して記念館が建っている。あの『大日本地名辞典』の著者の業績が一望のうちに眺められるようになっている。
東伍とは1864年生まれ、1918年(大正元年)に53歳で、千葉で逝いた学者で、この辞書は独力で10数年をかけて、大型本6巻、索引1巻、続編1巻の形をとって、1909年(明治42年)に完成したもの。他に20冊ほどの著書を残している。そんなことを学びながら、時間のたつのも忘れた。
急いで新発田に帰りついたが、気がついてみると、牛乳を買うことを忘れていた。(新井 明)