キャンパス日誌

【学生レポート】大学で学んだベトナムの文化をひとり巡る旅

敬和学園大学 国際文化学科の長坂ゼミでは、ベトナムを中心とした東南アジア諸国の文化について学び、新潟のムスリムの方々と交流を深めるなど、実践的に異文化への理解を深めています。
長坂ゼミに所属する青池寿珠さん(国際文化学科3年)が、大学で学んだ異文化を現地で体験するため、ベトナムをひとりで巡る5日間の旅に行ってきました。

<ベトナムひとり旅の実現まで>
もともと長坂ゼミで学ぶ中で、マレーシアで行われる「日本・マレーシア文化交流プログラム」に参加しようと準備をすすめていました。
その研修に加えてベトナムにも行きたいと思ったのは、私が前々から行きたいと思っていたホイアンという世界遺産がベトナムにあったからです。大学で学んでいるベトナム文化を現地で体験することで、長い夏期休暇を有意義に過ごせたら良いなと思っていました。
そんな中、幸運なことにベトナム訪問予定の期間にゼミの長坂康代先生がベトナムの首都ハノイに滞在されていることを知り、先生からは、もしベトナムに来るようなら美味しいご飯のお店を教えてあげると魅力的な言葉をいただき、背中を押される形で訪問することを決めました。

<ベトナムってどんな国?>
ベトナムは東南アジアに属する縦に長い社会主義の国で、隣接している国は北から中国、ラオス、カンボジアになります。北部、中部、南部でそれぞれ違った気候や観光名所、料理を楽しむことができます。あの有名なフォーも、北・中・南で味つけが違ったりします。
新潟は車社会ですが、ベトナムはバイク社会。街を歩けばたくさんのバイクが辺りを走っています。バイクタクシーというものもあり、私も利用しましたが現地ではポピュラーな存在でした。

ベトナムの移動手段はバイク、道路はバイクでいっぱいでした

ベトナムの移動手段はバイク、道路はバイクでいっぱいでした

 

<旅のはじまりは長坂先生と>
「日本・マレーシア文化交流プログラム」終了後、その足でクアラルンプール国際空港からダナン国際空港まで移動しました。
ベトナム旅のスタートは、中部のダナンです。沖縄の海のように透き通った海や、世界遺産のホイアン旧市街地が有名です。

長坂先生と合流し、まず最初に向かったのは、ホテル近くにあったハン市場。中にも外にもお店がぎっしりと並び、ドリアンやドラゴンフルーツなど、日本ではなかなか出合えないフルーツや、亀の編みぐるみメジャー、手編みの籠バッグなどといったベトナムらしいお土産を買うことができます。人も多くごちゃごちゃしているので、鞄の中身や腕時計を盗まれないよう注意しながら買い物しました。
買い物の後はダナンの観光名所ドラゴン橋「Cau Rong」を撮影したり、フルーツ紅茶を飲んだりして楽しみました。

お店がぎっしりと並ぶハン市場

お店がぎっしりと並ぶハン市場

 

実はその日の夜、マレーシア研修から解放されて、口に合うものを食べたいと思った私は辛ラーメンを食べたのですが、これがいけませんでした。疲れきった体にカプサイシンを叩き込んだのが原因で、帰国まで引きずる風邪をひいてしまいました。皆さんも疲れた身体に辛いものはやめましょう・・。

辛ラーメン、疲れた体に沁みました

辛ラーメン、疲れた体に沁みました

 

<長坂先生とのバイク旅>
ダナン2日目は、まず長坂先生の運転するバイクの後ろに乗って、手持ちの日本円をベトナム通貨のドンに両替に行きました。先生の運転するバイクの後ろに私が乗ってグーグルマップで道案内するという、なかなかない経験をさせていただきました。

長坂先生の運転するバイクでの移動

長坂先生の運転するバイクでの移動

 

日本円を扱う銀行が限られていて、いくつかの銀行をたらい回しにされながらもなんとかドンに両替できました。

両替が終わった後、お昼の早い時間から私の行きたかったホイアンに向かいました。
ダナンからバイクで40分ほどの場所にあるホイアン旧市街は世界遺産で、日本や中国の文化が混ざった建造物や街中に溢れるランタンが有名です。
先生の運転するバイクの後ろの席からは、有名なビーチやベトナムらしい仏教の石像売り場(野外に並んだ吉運堂、といった雰囲気でした)、路上食堂、マレーシアで見ることがなく恋しく思っていた田んぼを見ることができました。
ホイアン到着後は、フォトスポットになっている日本橋や中国の寺院前で写真を撮ったり、アイスクリームを食べたりしました。

ベトナムのアイスクリーム

ベトナムのアイスクリーム

 

<いよいよひとりきりの時間!>

数時間すると先生は仕事があるからと帰ってしまい、旧市街地内にひとり残されてしまいました。ですがこれで良いのです。やっとひとりになれる。自由だ!と心から思えました。四六時中誰かと一緒だったマレーシア研修に疲弊していた私は、心のどこかでこの時を待っていたのかもしれません。
自分の力だけで外国を歩くことで身につくこともあるし、ひとりきりになったこれからが旅本番です。

お昼から夜にかけては、旧市街の中をひとりで散策しました。
人に声を掛けて写真を撮ってもらったり、レストランを探して注文をしたり、民族衣装アオザイが借りられるお店を探して衣装を借りたりしました。衣装のレンタルは初めて経験する前払い制で、お釣りが衣装返却後に返ってくる方式でした。

アオザイを着て、きれいなランタンに囲まれて

アオザイを着て、きれいなランタンに囲まれて

夜になるとホイアン・トゥボン川で灯篭流し体験ができます

夜になるとホイアン・トゥボン川で灯篭流し体験ができます

 

印象深かったのは、夜になると旧市街の広範囲に展開されるナイトマーケットです。日本ではなかなか難しい値切り交渉といった、教科書に出てくるような「買い物のかけ引き」を経験できました。

ホイアンのナイトマーケット

ホイアンのナイトマーケット

 

帰りは気持ちいい夜風に吹かれてバイクタクシーを使いホテルまで戻りました。後で帰りの時間が遅すぎると先生に注意されてしまいましたがそれも良い思い出です。

現地では気軽で便利なバイクタクシー

現地では気軽で便利なバイクタクシー

 

<ダナンから首都ハノイへ>
ダナンを十分に楽しんだ後のベトナム3日目は、ダナン国際空港から国内線で首都ハノイまで移動しました。長坂先生の研究のベースで庭ともいえるハノイは、バイクや人の往来がダナンよりも激しく、ベトナムの人々のリアルな生活がより見えるところでした。
路上喫茶やフォーのお店など、現地の人々が日常的に使うお店もたくさんありました。ハノイは路地が複雑で迷いやすいので、訪れる際はグーグルマップを開いておくのが安心でした。

ハノイ旧市街の河東門

ハノイ旧市街の河東門

 

先生の案内でブンチャー(フォーよりも細い米粉麺の料理です)を食べたり、一人になった時にはベトナムのカフェチェーン店「Phuc Long」(スターバックスやタリーズコーヒーのようなお店です)で、お土産の茶葉を買ったり、狭い通路でも容赦なしに迫り来るバイクを避けつつ散策しました。

ハノイで食べたブンチャー

ハノイで食べたブンチャー

 

4日目はバスに乗ってイオンに向かいました。外国なのだから外国製品が多くあるのだろうと思っていましたが、日本のイオンとの共通点は思っていたよりも多く、ベトナムに合わせて作られた日本製品や、日本でよく見かける雪見だいふくや冷凍枝豆、知育菓子が日本語のまま販売されていました。日本と同じく1階はお馴染みの食品売り場で、たこ焼きやお寿司など日本食が溢れていました。美味しい日本料理がベトナムでも親しまれているようでうれしくなりました。

イオンでは日本の茶豆がそのまま売られていました

イオンでは日本の茶豆がそのまま売られていました

帰りは、1日目と同様、バイクタクシーを利用してホテルまで戻りました。

<最終日 バチャン村を訪問>

最終日はバスに揺られてバチャン村を訪問しました。この村は陶器で有名で、商品がぎっしりと並んだ販売エリアに入ると小皿やマグカップ、置物などを買うことができます。
いろいろな商品が並ぶ売り場を1人で回り、かわいい小皿やカップを購入しました。

陶器で有名なバチャン村

陶器で有名なバチャン村


 

<ベトナムで見つけた異文化>

(1)バイクに乗るマネキン
マレーシア編のブログ記事でも記しましたが、「マネキンを見るとその国の当たり前」が覗けます。ハノイのイオン内にある日本企業・無印良品のマネキンは、なんとバイクに乗っていました。
食品売り場の一角にはヘルメットが販売されていて、いかにバイクがベトナムで日常的に必要なものであるかが一目で分かります。

ベトナムの無印良品のマネキンはバイクに乗っていました

ベトナムの無印良品のマネキンはバイクに乗っていました

 

(2)開放的な路上喫茶、食堂
日本の店舗はドアを開けて店内に入ると思いますが、ハノイ周辺で見たローカルな店舗はほとんどドアが解放されており、外の空気を感じながら買い物や食事をします。日本で例えるなら、毎月特定の日にちに開催される市場のような雰囲気です。現地の人がお話しをする場所として活用されていました。

<ベトナムでの食事やお土産>

観光中に現地を楽しもうと、現地の人がよく利用するものをなるべく使うようにしました。日本で例えるなら地元のラーメン屋に入ったり、ウオロク(新潟の有名なスーパーです)に行ってみるといったような感じです。ベトナムの大衆食堂やスーパー、カフェ、グラブタクシー(東南アジアでメジャーな配車アプリ)等を利用したことで、その場の生活や日常を一時的に体験できたように思います。おすすめです。

(1)「Phuc Long」の茶葉
日本語にすると「フックロン」と読むそうです。蓮やライチ、桃などの香りが茶葉についています。手ごろな金額(29,000~37,000ドン:170~230円)で、美味しい上に1箱に25袋入っています。多くの人にお土産を配りたい時におすすめです。

お土産にしたティーバッグ、ハス茶はジャスミン茶より香りが柔らかく優しい味わいです

お土産にしたティーバッグ、ハス茶はジャスミン茶より香りが柔らかく優しい味わいです

 

(2)袋フォー
日本には夜食に大人気な「袋ラーメン」がありますが、ベトナムには同じような「袋フォー」があります。ベトナムで食べたフォーがとても気に入って10個も買ってしまいました。
鍋に指定量の水、かやくを入れて煮立ったら麺を入れて3分。日本と何ら変わりない作り方でフォーを楽しむことができます。スーパーで買い求めると5つで35,000ドン程度(約210円)とお得に買えます。

フォーはどこに行っても美味しかったです

フォーはどこに行っても美味しかったです

 

(3)ベトナム工芸品
ベトナムの有名はお土産として、亀の編みぐるみメジャーや陶器のコースター、籠バッグなどがいたる所で売られています。店舗によって値段や値引きできるかが異なるので、より安い店を探して買い物をするのも楽しみの一つです。色や大きさの種類が豊富なので好みのものを探してみてください。

ベトナムの工芸品、亀の編みぐるみメジャー

ベトナムの工芸品、亀の編みぐるみメジャー(巻き尺)

 

<ベトナムを一人で旅してみて>
中部と北部を一気に体験できた濃厚な5日間でした。ひとりきりで海外を歩いたことで、状況を分析して乗り越える力と、自分の意思をはっきりと伝える力が身についたと思います。
日本のように「察しろオーラ」「空気を読むこと」でなんとかならないのが海外です。欲しくない商品を売られそうになった時にはっきり「いらない」と言ったり、言葉の通じない中で値段を聞いたり「これが欲しい」などと伝えなくてはなりません。もちろんベトナム語は分かりませんから、翻訳アプリや指さしで伝えていました。初めての場所でバイクタクシーの待機場所を探したり、鍵つきのショーケースに入った商品を買ったり、市場で割高な値段を値引きしてもらうよう頼んだり、時には逃げたり・・、確実にたくましくなれたと思います。
資金の問題、海外に対する抵抗感、「外国語話せないし・・」「一人で行くなんて無理」と思ってしまう人もいるでしょう。人生の中で絶対1回は外国に行け、とは言いません。ですが、そこでしかできない体験や楽しいこと、美味しいものが絶対にあります。そして何より、国内外問わず知らない場所を歩くのはとても楽しいことです。
海外に行かなくとも、普段の生活の中で通ったことのない道、降りたことのない駅、入ったことの無い店を探検してみてください。海外を散策するのと似た楽しさが味わえると思います。

(国際文化学科3年 青池寿珠)

ベトナムひとり旅の前に参加した「日本・マレーシア文化交流プログラム」の記事はこちらからご覧ください。

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