キャンパス日誌

【学生レポート】日本・マレーシア文化交流プログラムに参加しました

マレーシアで開催された「日本・マレーシア文化交流プログラム」に、敬和学園大学 国際文化学科(長坂ゼミ)の学生2名が参加しました。このプログラムは、長坂ゼミがイスラームについての学習や啓発活動の中でつながりができた、NPO法人「千葉イスラーム文化センター」理事長 杉本恭一郎先生のお誘いで実現したもので、2023年8月5日から8月13日の9日間、マレーシア・クアラルンプールで行われました。
日本で生活する2世ムスリムのアイデンティティの発見、日本語の通じない外国で異文化や外国語(英語)を通してのコミュニケーション力の向上、日本とマレーシアの文化交流を目的としたプログラムです。
プログラムに参加した、青池寿珠さん(国際文化学科3年)からのレポートをお届けします。

<研修で体験したマイノリティとしての肩身の狭さ>
22人が参加した今回の研修ですが、そのほとんどはご両親のどちらかがムスリム(イスラム教徒)で2世として生まれてきた方たちでした。ノンムスリムである学生は、私たち2人を含め、4人のみ。
ムスリムの学生がそれぞれのルーツやムスリム同士だからこそできる話をしたり、ホームステイ先で同じムスリムと生活している中、ムスリムですらないただの日本人である私はその輪に入ることができず、居心地の悪さや寂しさ、学びのためとはいえ、このまま研修に参加していてよいのだろうか?といった申し訳なさや肩身の狭さを感じていました。

イスラームの美しいモスク

イスラームの美しいモスク

イスラームの礼拝の様子

イスラームの礼拝の様子

 

マレーシアはさまざまな民族が暮らすイスラム教徒の国です。その中で、イスラム教徒でもマレーシア人でもない私はマイノリティということになります。つまり研修中に感じていた居心地の悪さや申し訳なさは自分がマレーシアでは「外国人」で、マイノリティであるからこそ生じた気持ちであり、ひいては日本の地方で過ごすムスリムの人々やマイノリティに属する人々が日々感じている気持ちでもあるとのだと気づかされました。
研修を終えて振り返ってみれば、日本でマジョリティとして過ごしていれば絶対に感じることのなかった気持ちを体験できたことはとてもよかったと思っています。

 

<日本とは異なるマレーシアでの当たり前>
マレーシアの大学や街中、ショッピングモールで見つけた、日本とは違うところをご紹介します。自分の国とは違う、自分の国にはない新鮮なものは、実は向こうにとっての「当たり前」でした。

(1)いたる所に猫がいます。モスクの中や街中、大学構内などなど、本当にいろいろな場所で猫を目にします。これはなぜかというと、イスラム教の予言者が飼っていた動物が猫であるため、飼い猫・野良猫どちらでも「真のペット」として大切にされているのだそうです。
日本では年々管理が厳しくなっているため、野良猫を見ることが少なくなってきているので、とても新鮮でした。

いたる所で猫がくつろいでいます

いたる所で猫がくつろいでいます

皆さん、猫にやさしかったです

皆さん、猫にやさしかったです

 

(2)ショッピングモールや学校にもモスクがあります。トイレのピクトグラムと同じようにモスクのマークがあり、お清めをする水場やレンタル用の肌を隠す布が完備されています。お祈りの時間になるとムスリムの方々がそこに立ち寄ってお祈りをしていました。

モスクを案内するピクトグラム

モスクを案内するピクトグラム

トイレの案内も特徴的で、男性はヒゲ、女性はヒジャブで表現されています

トイレの案内も特徴的で、男性はヒゲ、女性はヒジャブで表現されています

 

また、ショッピングモールにある女性のマネキンにはヒジャブ(ムスリムの女性が身につけている髪を隠す布)が巻かれており、マレーシアの「当たり前」に触れることができました。
マネキンを見るとその国の日常を垣間見えるような気がします。

マネキンもヒジャブをまとっています

マネキンもヒジャブをまとっています

私もヒジャブのついた礼拝用の服を着てみました

私もヒジャブのついた礼拝用の服を着てみました

 

<異文化での生活で身につけた適応力>
研修を通して、以前よりも適応力が身につきました。
日本語の通じない国で、ホストファミリーやホームステイのルームメイト、研修に関わってくださっているマレーシアの方々と1週間以上も一緒に過ごすのですから、当然そこに順応することが必要です。
そのために何をしたかというと、話しかけられたら明るく受け答えをすること、初めて見る物事について質問をすることでした。話そうとする姿勢を見せ、質問を通して文化交換をすることでマレーシアの文化を学ぶと同時に、周りの人との仲を深められたと思います。
もう一つ、気をつけていたのは礼儀と感謝です。私は少数派のノンムスリムとして研修に参加したので、よりイスラームについて学ぶため、「貴重な体験をさせていただいている」という気持ちを忘れず、失礼がないように真剣に研修に取り組みました。

マレーシアの食文化も楽しみました

マレーシアの食文化も楽しみました


一人で釣りに出かける日もありました

一人で釣りに出かける日もありました

 

<相手を理解することの大切さ>
長坂ゼミに入り、今回のプログラムへの参加を含めて、イスラム教について学んだり、ゼミ活動で実際にムスリムの人々と関わる機会をいただき、異文化への理解が深まっています。
ムスリムの人口は、これからどんどん増え続け、イスラム教が世界で信仰している人が1番多い宗教になることが予想されています。隣に引っ越して来た人や職場の隣のデスクの人、同じクラスや隣の席の人がヒジャブをつけていたり、お祈りをする姿を見かけることもあるでしょう。
そんな時に私たちノンムスリムが、彼らにできるベストな接し方とは何でしょうか?それは、ムスリムになることでも、アラビア語を学ぶことでもありません。私の考えるベストは、まず相手のことを知ることです。なぜ豚肉やお酒を口にしてはいけないのか、1日に5回行うお祈りにどういった意味があるのか、彼らの日常やアイデンティティの一部であるイスラム教がどんなものなのか、正しい情報をまず「知ろうとする」ことがお互いに手を取り合って暮らしていく第1歩であると思います。

(国際文化学科3年 青池寿珠)

このプログラムの後に訪ねた「ベトナムひとり旅」の記事はこちらからご覧ください。

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