キャンパス日誌

朱鷺の野生復帰について学ぶため、佐渡島での宿泊研修を行いました

敬和学園大学 国際文化学科の房文慧ゼミ(国際社会コース)が、朱鷺の野生復帰について学ぶため佐渡島での宿泊研修(1泊2日)を行いました。
敬和学園大学は、「トキの水辺づくり協議会」さまと2018年連携協定を結び、サテライト会員となっています。そのご縁から、今回の研修では、「トキの水辺づくり協議会」さまからご協力いただき、2022年度公益信託「サントリー世界愛鳥基金」の助成金を活用させていただきました。3年ぶりの実施となった研修には、教職員と学生計12名が参加しました。

 
<1日目>
この研修は、「朱鷺」をキーワードとして、自然・生き物・人間との歴史文化的および社会的関係が、いかに変化してきたかについて深く理解することを目的にしています。佐渡は朱鷺との共生を目指し、田んぼの生態系に配慮した「生きものを育む農法」の取り組みや棚田などの美しい景観、昔から受け継がれている伝統的な農文化が評価され、島全体が「トキと共生する佐渡の里山」として2011年に日本で初めて世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage Systems : GIAHSジアス)」に認定されました。その意義およびプロセスなどを深く理解し、さまざまな活動を通じて、一度は絶滅した特別天然記念物の朱鷺が復活し、佐渡で再び羽ばたくことができたのか考えました。

まず、トキ交流会館にて佐渡における朱鷺の歴史について、佐渡市役所農業政策課トキ・里山振興係の方より話を伺いました。
トキ交流会館は、朱鷺の野生復帰のための活動拠点として設置され、環境整備や普及啓発の活動に取り組んでいます。

トキ交流会館にて、朱鷺についての知識を深めました

トキ交流会館にて、朱鷺についての知識を深めました


 
その後、「トキの水辺づくり協議会」会長の板垣徹さま、地域おこし協力隊の方々と一緒に、朱鷺の餌場となるビオトープに水を引き入れる水路を掘りました。
ビオトープの水路完成です

ビオトープの水路完成です


 
<2日目>
「佐渡トキの田んぼを守る会」会長の齋藤真一郎さまにより、朱鷺と農業の話を伺いました。
齋藤さまは、朱鷺が野生で餌をとれるような環境を作るため、農薬や化学肥料を削減するだけでなく、田んぼとその周囲の生き物のための生息環境を作り出す「生きものを育む農法」でお米を栽培されています。
齋藤農園さまの無農薬・無肥料栽培米「朱鷺と暮らす郷」田んぼ

齋藤農園さまの無農薬・無肥料栽培米「朱鷺と暮らす郷」田んぼ

田んぼアートは「朱鷺と暮らす郷づくり」認証制度10周年を記念して始まり、今年で6年目になりました。安全でおいしい佐渡米を認証するこの制度開始を契機に、佐渡全体に朱鷺を中心とした環境づくりを重視する米作りが広がったそうです。

美しい朱鷺の田んぼアート

美しい朱鷺の田んぼアート

田んぼの一部を掘り下げて通年水を張った状態の「江」(水辺)を創出し、水生生物の生息環境も確保する活動もしています。
学生たちは草の根を切り、土を掘り、埋まっていた江を修復しました。餌を捕りにやって来た朱鷺に出会うことができました。

炎天下の中で作業をする学生たち

炎天下の中で作業をする学生たち


 
酷暑の中での作業を終えた後、齋藤さまが経営する齋藤農園直営のフルーツカフェ「Fruits&Cafe Saito」さまを訪れました。
カフェは多くの観光客が訪れる佐渡の人気スポットの一つとしても知られています。
当日は定休日でしたが、冷凍したおけさ柿「柿愛好(かきあいす)」をいただきました。
柿愛好(かきあいす)

柿愛好(かきあいす)


齋藤農園代表の齋藤真一郎さんと集合写真

齋藤農園代表の齋藤真一郎さんと集合写真

 

世界遺産候補となっている佐渡金山も、この研修で訪れました。
こちらでは、400年近くに渡って鉱山界をリードした日本最大級の金銀山の歴史を感じてきました。

北沢浮遊選鉱場跡

北沢浮遊選鉱場跡

北沢浮遊選鉱場跡のシックナー

北沢浮遊選鉱場跡のシックナー


 
今回の朱鷺を巡る研修全プログラムにおいて、終始同行し指導してくださった佐渡愛・朱鷺愛に溢れる「案内人」仲川純子さま(「佐渡生きもの語り研究所」前理事長)に感謝します。
 

研修に参加した学生の感想

「朱鷺が野生復帰することができたのは、佐渡の方々や保護・野生復帰に携わった方々の絶え間ない努力があったからだと認識することができました。今後もこの環境を持続し、よりよい方向へ進めていくためにも生態系の保護・保全に意識を向けていきたいです。」

「世界農業遺産に認定されたことと絶滅危惧種朱鷺および朱鷺の復活、生き物を育む佐渡農法との関係が初めて分かった。今回の研修の旅で、いろいろな活動を体験することができ、いろいろな場所を行くことができてとても充実でした。田んぼに餌を採りに来た朱鷺を見れたのが1番うれしかったです。自分の目で「佐渡の成功」を確かめることができました。」

「朱鷺を巡る研修の旅はとてもおもしろくて濃い2日間でした。私は日本に来て4か月になります。絶滅危惧種朱鷺について、環境保全の知識と佐渡の歴史に初めて触れました。もし機会があればまた行きたいです。」

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