キャンパス日誌

さようなら、外山節子先生 ~新鮮であり続けた子どもたちへのまなざし~

客員教授の外山節子先生が2019年度をもって、敬和学園大学を退職されました。

外山節子先生(2019年8月 児童英語教育サマーセミナーにて)

外山節子先生(2019年8月 児童英語教育サマーセミナーにて)

 

外山先生は2003年度から17年間、「児童英語教育概論」「児童英語教育実践:歌とチャンツ」「児童英語教育実践:絵本とストーリーテリング」「児童英語指導実習論」および社会人を対象として「児童英語教育:理論と実践」を担当され、多くの学生や社会人にまったく新しい形の刺激的な英語授業のあり方を示してくださいました。

さまざまな知能に働きかける多様な道具を使った授業(外山節子先生)

さまざまな知能に働きかける多様な道具を使った授業(外山節子先生)

外山節子先生が制作に関わられたテキストや教材の一部

外山節子先生が制作に関わられたテキストや教材の一部

 

2003年当時、児童英語教育はまだ新しい分野でした。外山先生の授業では、ドリル学習で英文を覚えさせるのではなく、さまざまな活動の中で、そのフレーズを発するのが自然な環境を作る工夫がいつもなされていました。

あるころから、ハーバード大学のハワード・ガードナー教授が提唱した「多重知能理論(MI理論)」を基盤として授業を展開していかれました。これは、人は従来のIQテストが測る知能以外にもさまざまな知能を持っているとし、歌ったり、スポーツをしたり、人間関係を築く能力も「知能」と位置づける理論で、人は8つの知能を持っているとしています。

「多重知能理論(MI理論)」の図

「多重知能理論(MI理論)」の図

 

外山先生の授業は「説明より経験を。」との考えに基づき、子どもの持つこれらの知能に働きかける授業案を作って行われ、学生にも多様な学習スタイルを理解し、そのような授業案が作れるよう指導されました。そのために、歌やチャンツ、絵本やカードゲーム、演劇など多様な道具を活用し、マインドマップで振り返ることも忘れず行われました。

敬和祭では、地域の子供たち向けにイベントを開催してくださいました

敬和祭では、地域の子供たち向けにイベントを開催してくださいました

英語圏の文化を楽しもうと敬和にハロウィンの仮装を持ち込んでくれたのも外山節子先生でした

英語圏の文化を楽しもうと敬和にハロウィンの仮装を持ち込んでくれたのも外山節子先生でした

 

2019年8月には、外山先生の敬和でのラストイヤーになるということで「児童英語教育サマーセミナー」を開催しました。卒業生や過去に受講された科目等履修生の方を中心に30名ほどの参加者が集まり、和気あいあいと楽しく外山先生の集大成となる授業を受けました。
ディプロマ・プログラムができる前も、児童英語教育が一定の学生にとって敬和の学びの核となっていたことがよく分かりました。

児童英語教育サマーセミナーには、外山節子先生の教え子たちがたくさん駆けつけてくれました

児童英語教育サマーセミナーには、外山節子先生の教え子たちがたくさん駆けつけてくれました

 

「手を変え品を変え」をもじって、子どもを混乱させないために「手を変えずに品を変える」手法をたくさん経験し、かつて自分が外山先生から受けた授業と手法(手)は変わっていなくても、バリエーション豊富な活動(品)を体験して、参加者のお一人がいみじくも「老舗みたいです。古くて新しい。」とおっしゃったのが、このセミナーをまとめる名言だったと思います。

セミナー最後には、その日入籍したという卒業生が2人で駆けつけてくれましたし、どうしても都合がつけられなかった卒業生からは、美しいバラの花束が贈られました。

外山節子先生の教え子たちが、地域の子どもたちへの英語教育に尽力しています

外山節子先生の教え子たちが、地域の子どもたちへの英語教育に尽力しています

 

外山節子先生の17年間の敬和でのお働きに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。先生のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。 (学長補佐 金山愛子)