キャンパス日誌

山田耕太前学長に名誉教授を授与しました

1991年の開学以来、敬和学園大学のために尽力された山田耕太前学長に、理事会にて名誉教授の称号が授与されました。

山田耕太前学長に名誉教授が授与されました(左から、榎本理事長、山田名誉教授、金山学長)

山田耕太前学長に名誉教授が授与されました(左から、榎本理事長、山田名誉教授、金山学長)

授与にあたり、金山愛子学長と下田尾治郎宗教部長からの感謝のことばをお届けします。

山田耕太先生への感謝のことば

9月14日の理事会で、山田耕太前学長に敬和学園大学名誉教授の称号が授与されました。山田耕太先生は1991年の開学以来32年間にわたって本学に多大な貢献をしてくださいました。新約学者として17年間キリスト教学を1年次生に教えられ、教え子の数は3,400人近くに上ります。卒業式などでお召しになっていたダラム大学の緋色のガウンを覚えている卒業生も多いことと思います。イギリスの大学町での経験を交えた深い学識に裏打ちされたチャペル・アッセンブリ・アワーでの説教は格調高く、忘れがたい印象を残しています。

山田先生は生まれたばかりの本学の教学面の礎を作り、大学基準協会への加盟と認証評価など、敬和を大学としていくための尊い働きをしてくださいました。開学20周年にあたっては、作曲家の大中恩氏のもとに出向かれ、北島万紀子氏のすばらしい歌詞を得て、すてきな校歌を作っていただきました。2015年に学長に就任されてからは、新発田駅前に開かれた学生寮「向山寮」を軌道に乗せ、「まちなかキャンパス化」の実現のために学長裁量費によるサービスラーニングを活性化させ、海外提携大学との関係もリニューアルしてくださいました。このようにして「実践するリベラルアーツ」を実質的に動かし、持続可能な社会の担い手となる人を育てるという本学のビジョンに向けて大きな一歩を進めてくださいました。

人一倍お忙しい先生でしたが、研究面でも新約学および新約聖書と修辞学の問題を中心とした『フィロンと新約聖書の修辞学』(新教出版社、2012年)、『NTJ新約聖書注解 エフェソ書簡』(日本キリスト教団出版局、2022年)をはじめ、リベラルアーツ教育に関する論文も含めて、数多くの著書、訳書、論文を著しておられます。現在は日本新約学会会長として、日本の新約聖書学を牽引されると共に、後進の育成にあたっておられます。

心に留めるべきは、傑出した聖書学者というだけではなく、先生が敬虔なるキリスト者、そして何よりも祈りの人であられたということ。教会の門を叩き、信仰へと導かれた若かりしころより、今日に至るまで、神の前にぬかずくことを先生は大切にしてこられました。ダラム大学への留学の際は、一日も欠かすことなく、大聖堂へと赴かれ、会衆席に先生しかおられない時であっても、讃美と祈りをささげられたとの印象的なエピソードをお話しくださったことがありました。月に一度の新発田朝祷会においても、皆勤のメンバーとして、本学のためにお祈りをささげてくださいました。学長時の教授会の際に、宗教部長と交代で、冒頭の祈りをご担当くださり、この大学でなされる全てのことは神さまの御心のもとにおかれねばならないことを教職員に思い起こさせてくださったのも山田先生でした。先生のエネルギッシュな教育・研究活動を支えた源が日ごとにささげられる敬虔な祈りにあったことは、決して忘れてはならないことでしょう。神さまの御心を尋ね求めることを通して、先生はご自身の歩むべき道を見定めてこられたのです。山田先生にとって、本学に仕えることは、なによりも神さまからの召しによるもの。その召命観を固く心に抱きつつ、晴れた日も、雨風吹きすさぶ日も、新潟の地に建てられたこの小さな学び舎を愛し、守り導き、その任を全うしてくださいました。

山田先生はお名前のとおり山のように揺るがず、いつもここにいらしてくださいました。タフで大らかな先生も悩まれ苦しまれたことがあったことと思います。神さまが先生のご苦労を一番よく知り、小さなこと一つひとつに真面目に正直に取り組んでこられた先生を「よくやった、忠実なるわが僕」と労ってくださることと思います。最終講義では、「神への愛」「人への愛」「地域への愛」の三愛主義に加えて「学園への愛」についても語っておられました。この学園を愛してくださっていた先生が思い描いていた「愛と希望の溢れる学びの共同体」に向けて、気持ちを新たに皆で協力して敬和の次のページへと進みたいと願っております。

(学長 金山愛子、宗教部長 下田尾治郎)

山田耕太前学長への名誉教授の称号授与に関する推薦文はこちら(pdf形式、153KB)