チャペルのひびき

平和の社会の建設のために

チャペル・アワーは、金山愛子先生(英語文化コミュニケーション学科教授、学長補佐)がご担当くださりました。効率主義や能力主義を原理とする競争社会のただ中に投げ込まれ、慌しく生きることを余儀なくされる、また他者との比較において、深く傷つき、自分と折り合いをつけられない私たち。そんな私たちが、もう一度、自分らしく自分の人生を生きると共に(自らの内に平和を宿すと共に)、同じように自分らしく生きようとする異なる価値観を持った人々と共生するために(すなわち平和を人々との間に築いてゆくために)、少しばかり、生きるスピードを落としてみてはとの貴重なご提言をいただきました。歩むことによってしか見えない世界があり、出会えない人々がいる。主イエスこそ、歩く人であり、その歩みの中で出会った人々に、能力や働きに対する報いではない神さまの恵みを届けていかれた方。その恵みの光の中で、人々は自らの唯一無二の人生を見つめ直し、生き直していったことが聖書の中には記されています。私たちもまた、イエスの恵みを受けつつ、人々に恵みを届けるために歩む者となりたく思います。アッセンブリ・アワーでは、大岩彩子先生(英語文化コミュニケーション学科准教授)が、ご自身のたどってこられた道のりと共に、研究対象の一つとして取り組んでおられるモンテッソーリ教育の神髄について教えてくださいました。その根幹にあるのは、子供一人ひとりの人格の完成であり、個の確立した(自立と自律を獲得した)新しき人間による平和的社会の建設であるとのこと。他者との比較によるのではなく、自立と自律を達成することを通しての、自己肯定感を持った人間の育成こそが、平和な世界建設のための礎(いしずえ)であるとの主張は、金山先生のお話しくださったこと、さらには本学のキリスト教教育の理念に通底するものであると感じることができました。大岩先生を本学の専任の先生としてお迎えすることのできた幸いを感謝をもって覚えるものです。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「スローでいこう」  教授 金山愛子 先生

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「モンテッソーリ教育から学ぶ、『自立』と『自律』と『平和な世界』」 准教授 大岩彩子 先生

<参加学生の感想>
感想1) 金山先生は、自分を受け入れること、折り合いをつけることが今年の学生は想像以上にできていなくて驚いたという話から、今の社会の制度に対して何の疑いを持たずに生活せずに、自分で考え選択し、よりグローバルな考えに触れるようにしていこうと言われました。私はその考えを以前から理解はしていましたが、行動に移すことができていませんでした。それは単に今に満足してしまっているからだと思いました。そこで私は、今後の人生で向き合って自分のこの甘さを少しでも改善できればと思いました。
感想2) 「スローでいこう」これは、ただ単純に言葉どおりに受け取るのではなく、僕は「自分のよさを見つけ、そのよさを他人よりも遅くていいから確実に伸ばしなさい」ということと学びました。僕は電車で通学していますが、そこでよくサラリーマンの方や主婦の方を見かけますが、その目が余裕がないように見えてしまいます。僕はそれをボーッと見てしまっているのですが、今日の話を聞いて、もっと余裕を持って自分の人生を歩んでいきたいと思います。
感想3) モンテッソーリ教育のお話を聞いて、その内容を知ると、私が育てられた環境と共通している点が見られました。私は小さいころからやりたいことをやらせてもらえる環境で育てられた記憶があります。自由に行動できる環境をつくってくれた親に感謝したいし、自分も将来はそんな母親になりたいと思いました。
感想4) 大岩先生の話から、今までの経験や人柄について少なくとも知ることができたのでよかった。「先生」というのはいろいろなものに置き換えられる。今回は先生はガーデニングをする人という言葉に新しい発見があった。この敬和というキャンパスを通して、私はさまざまな人と出会い、たくさんのことを学び経験し、今の自分を形成しているのだと思った。さまざまな人に感謝の気持ちがある。今回先生方のお話から、自分を見つめ直し、ありのままの自分を受け入れることの大切さを再確認した。