学長室だより

2003年7月18日号

7月11日のチャペルで「くつを脱げ」を語った。モーセのあとを継いだヨシュアが、エリコを攻略したときのこと、抜き身の剣を手にした恐ろしい男が立ちはだかった。「ワァー、味方か、敵か」とヨシュアは叫んだ。男は、「わしは主の軍勢の長だ」と答えた。ヨシュアは彼が神の使いか、神その人と察して、地にひれ伏して拝した。(さもなければ、ヨシュアは殺されていたろう。)「あなたの奴隷なるわたしに、なにかご命令でも?」とヨシュア。相手は「くつを脱げ。この場所は聖なる所だ」と答えた(ヨシュア記5の13-15〉。ヨシュアはそれに従った。戦場における履物はいのちをまもる大事な武具である。それを捨てよ、と言われる。つまり、おのれの力を信ずるな。「自己」を捨てよ、ということである。ヨシュアはそれに従った。自分の力を捨てることによって、神の「味方」になることができた。国と国、人と人の関係もこれに類する。他人の国に土足ではいることは許されない。また、人間はおのれを小さな神として、自分の能力、財力、地位、効率などを誇ってはならない。それは真の創造主を「敵」とすることである。人は「くつを脱ぎ」、神が聖とする所に招き入れられなければならない。(新井 明)