学長室だより
2006年11月24日号
京極高宣(たかのぶ)先生は最近まで日本社会事業大学の学長をつとめた方で、現在は国立社会保障・人口問題研究所の所長である。敬和学園大学の共生社会学科が先生を新発田へおよびして、ご講演をいただいた。「社会保障と日本経済」。社会福祉の専門家であるが、たんなる机上の学者ではなく、理論を実際の政策、経営とむすびあわせてお話をしてくださる力をもっておられる。一般に社会保障といえば経済の足を引っ張るというマイナスイメージをともなうことが多いのだが、そうではなく、かえって社会経済的効果さえあるのだという話は、聴く者の心に力をあたえた。質疑にあまり時間を割くことができず、残念であった。
先生は隅谷三喜男先生の弟子だという。ガンを抱えながら、最後まで社会の弱者層のために力を尽くされ、天に帰られた隅谷先生の心と学問を継承しておられる京極先生を、この新発田にお迎えできたことは幸せであった。(新井 明)