学長室だより
2007年1月12日号
これほどの聴衆を集めるお方は世の中には、そうたんとはいない。12月9日(土)は収容人員1000名の新発田市民文化会館が満杯で、キャンセル待ちが300ほどであったという。雨模様の日、95歳の日野原重明・聖路加国際病院理事長先生が、おひとりで、お元気でJR新潟駅にお着きになり、新発田へ。ちょうど3年前に新潟市での講演会でお目にかかり、そのとき別室にてW.オスラー博士の『平静の心』の訳書を頂戴したとき以来、わたしはこのお方を、ぜひ新発田へお連れし、市民と学生に先生の生の声を聞いてもらいたかった。医師として自らに平安と自制を、他者へは愛を求めるオスラーの生き方が、そのまま日野原先生の生涯となっている。そして日本にホスピスの思想とその実際の医療を展開された。豊かなジェスチャーを伴った95歳の先生の「生きる上での希望と欲望」の語りは、聴衆に時間の経過を忘れさせた。壇上にいるのは「青年」であった。「聴衆の皆さんの血色がよくなり、明るい顔で皆さんがお帰りになった様子が印象的でした」という報告が届いた。(新井 明)