学長室だより
2006年12月22日号
敬和学園は高校と大学の教職員が一堂に会して、合同の研修会を催す。年2回。初めに礼拝をおこない、学園内外のことを思い、祈りを合わせる。そして基調講演を聴く。このたびは東京から高木博義さんをお呼びして、「南原繁と教育基本法」を語っていただいた。高木さんは東京大学法学部のご出身で、丸山眞男、福田歓一の両教授に学んだ。双方とも南原先生の弟子である。丸山教授の死のときには、教え子代表として、氏は壇上にあがった。現在、敬心学園の事務方として福祉教育に力をそそいでおられる。
「日本国憲法にうたう世界の平和と人類の福祉に貢献するという決意は、根本において教育の力にまつべきものである。」「21世紀を担う教養の共通の核は、平和であり、人権であり、共生の思想であり、公共的な感覚である。」「教育基本法は新しい日本の礎石である。」ここには南原が生き、丸山が生き、高木が生きている。
聴衆のひとりの頭には、南原の短歌が去来していた。「さ庭なる青木の朱(あけ)の実に觸(ふ)りて母の棺の出でゆきたまふ」(『形相』)。(新井 明)