学長室だより

2004年3月26日号

モーセがイスラエル人を率いてエジプトの地を出たとき 「入り混じった群集」が多数いたことが、「出エジプト記」には、正直に記してある (12の38)。ほぼ同じことが「民数記」の記述にもある (11の4)。
やがてカナンの地に着くまでの40年間も、またその後も、「寄留の他国人」がつねにいっしょであった。今いうところの「外国人労働者」のことである。聖書の世界には、すくなくともその基幹部分には、血の純粋性を尊ぶ民族意識は排除されている。イエスに、まずいやされたのは「異邦の女」であった (マタイ15の21-28)。
「神に仕える」こころがあれば、人に、とくに社会的弱者に「仕える」こころが芽生える。3月の卒業式で学長から「神に仕え、人に仕えよ」と諭された若者たちは、これから先、いかなる人生を歩んでゆくであろうか。(新井 明)