学長室だより

世界を知る~デンマークの福祉~

毎週木曜の夜に「デンマークの教育と福祉」というオンライン授業が開講されています。講師は全員デンマーク在住の日本人やデンマーク人で、常に幸福度で世界ランキング1,2位にあるデンマークという人口600万人の小国で、どのように民主主義や「高税・高福祉」の社会制度が機能しているかを学び、日本社会について考える機会をいただいています。5月7日は、はじめにコーディネータから「子育て」と「個育て」の両方の視点が必要で、親は子どもに「連帯」を教えたいと思っているという解説があり、重度障害をもち医療的ケアの必要なお子さんを育てながら、福祉分野で修士号を取得された日本人の方のお話を聞きました。市からはその子に合った支援が保証され、特別支援の保育園・小学校に通っており、障害があるから学校に入れないとかお母さんが働けないということはないのだそうです。電車通学が困難なため福祉車両を購入する際に半額補助があり、介助・介護に適した家を見つけてもらい、前のアパートと同じ家賃で住めるように補助が出ます。視線入力PCのトレーニングや障害児の兄弟姉妹への支援もあります。同じ「平等」でも、equalityではなくequityの発想なのだと思いました。個人個人に目を向けた支援は、はじめ衝撃的だったと言います。話し合いの中で、日本では「孤育て」が問題になっていることや、親は障害のある子どもより少しでも長生きしなければと思うほど、介護が家族任せになっている現状を共有しました。障害があっても社会が個人として育て支える制度に、社会の「個育て」の意志を感じ、デンマークでは幼い時から一人ひとりが「連帯」して社会を支えることを学ぶと聞いて納得しました。手厚いサービスだけれど時間がかかるなどのマイナスはあるものの、見える形で富(支援)が分配されていることがわかり、「親はあくまで支援の一部を担う存在である」との言葉も印象的でした。(金山 愛子)

“Interaction Institute for Social Change | Artist: Angus Maguire.”
https://interactioninstitute.org/illustrating-equality-vs-equity/