学長室だより

ルツとナオミ・その27

「どうぞあなたがその人をお引き取り下さい」と告げて、親戚の男は履物を脱ぎボアズに渡しています。「かつてイスラエルでは、親族としての責任の履行や譲渡にあたって、一切の手続きを認証するためには、当事者が自分の履物を脱いで相手に渡すことになっていた。これが、イスラエルにおける認証の手続きであった」(ルツ記4章7節~8節)と聖書は語っています。なぜ履物なのか、その由来についてはよく分かっていません。
履物を手に「あなたがたは、今日、わたしが……遺産をことごとくナオミの手から買い取ったことの証人になったのです。また、わたしはマフロンの妻であったモアブの婦人ルツも引き取って妻とします。故人の名がその嗣業の土地に再興するため、また故人の名が一族や郷里の門から絶えてしまわないためです。あなたがたは、今日、このことの証人になったのです」とボアズは宣言しています(9節~10節)。
裁きの集会で正式にルツを妻として迎えるとボアズが宣言しているのは、法手続のためだけではないのです。神の前で、ベツレヘムでの二人の生活が祝福されることを祈り求め、ルツがボアズの妻として住民からも認知されることを求めた言葉でもあります。(鈴木 佳秀)