学長室だより

2015年度後期入学式式辞(山田耕太学長)

皆さん、中国からはるばる日本へ、新潟県へ、新発田市にある敬和学園大学へようこそお出でくださいました。ご入学おめでとうございます。昨日、新潟にお着きになったと伺っています。もう一人の方はビザの関係で二週間ほど遅れて到着されると聞いています。熱烈大歓迎です。

20150917秋季入学式

さて、大学では、第一に日本語を一生懸命に学んでください。特に9月から1月までの後期は日本語に集中した学習をしますが、必死になって日本語の獲得に力を入れてください。日本と中国では同じ漢字を使いますが、日本の漢字は台湾の漢字よりやさしいですが、中国の漢字ほど簡単ではありません。同じ漢字を使っているので、大体の意味は分かると思いますが、読み方や発音が違ったり、細かい意味が違ったりしますので、違う点に気をつけて慣れてください。また生活習慣の違いに慣れて、どのような場面や状況で日本語が使われるか注意してください。日本語を理解することが今後の大学での学びの鍵です。日本語をしっかりマスターすると将来の可能性の道が開かれてきます。

第二に、4年間の大学生活で、勉強やさまざまな活動を通して生涯のかけがいのない友人をつくってください。もちろん中国人の友だちは助け合う中で、また他国の留学生とも比較的に自然に友人をつくることができると思います。友人の中に一人でもよいですから、日本人の友だちをつくるように心がけてください。私も留学したことがありますが、そこには日本人が一人もいなかったという状況もありましたが、ちょっとしたキッカケで多くの国々の留学生と知り合い、視野と見聞を広げることができました。また現地の人と一緒に生活する中で現地の友人もつくることができました。大学時代の友人は宝です。生涯に渡って続く財産となります。来年4月に月岡温泉で開催されるオリエンテーションには必ず出席してください。日本人学生と友達になれるきっかけが与えられると思います。留学生歓迎行事にも必ず出席してください。日本人学生との輪が広がると思います。

第三に、皆さんは日本の大学で一生懸命に勉強して何か自分にとって宝となる学びをしてください。また現在では、将来どこで働きどのような職業に就くか分かりませんが、日本で働こうが、中国で働こうが、どこで何をして働こうが、ぜひとも日本と中国の架け橋となっていただきたいと思います。国と国が対立し、政府と政府が対立しようが、友と友は、国や政府の対立を越えて、お互いに信じ合っていつまでも互いに変わることない友情を保っています。世界の平和は草の根のような友情によって育まれ、支えられるのです。ぜひとも日本と中国の間を結ぶ草の根の架け橋になっていただきたいと思います。

私は今から12年ほど前に中国に帰った一人の中国人留学生の言葉を今でも忘れません。その留学生は敬和で英語を学んだのですが、卒業間際の留学生の集会で「私は敬和で英文学と聖書を学んだことは一生の宝です」と言って中国東北部に帰られました。また別の中国人留学生は子供を母国の両親に預けて敬和で国際文化を学んで卒業しました。敬和にいた時はあまり日本語が上手とは言えませんでしたが、その後一生懸命に勉強したのだと思います。今から8年ほど前に当時の新井学長と房先生と共に内モンゴル自治区のフフホトの大学を訪問した時に再会し、フフホトで日本語学校を開いていることにも驚かされました。今年の5月に新潟・新発田にも来られましたが都合で首都圏に出かけており、お目にかかることはできませんでしたが、日本と中国の架け橋となって活躍している姿に励まされます。皆さんの先輩にはこのような方々が大勢いることを覚えていただきたいと思います。また、そのような先輩に倣っていただきたいと思います。

皆さんの留学生生活が祝され、その生涯が豊かで祝されたものとなりますように心からお祈りいたします。

2016年9月17日 
敬和学園大学長 山田耕太