学長室だより
2019年度入学式式辞(山田耕太学長)
新入生の皆さん、保護者の皆さん、大学ご入学おめでとうございます。今年の冬は雪が少なかったのですが、4月になって珍しく雪が降りました。桜が咲くのが待ち遠しい季節を迎えました。
新入生の皆さんは、この春から始まる大学生活を期待と不安の中で待ち遠しくしていたのではないでしょうか。先ほどの大学生活が始まりを告げる式の始めのファンファーレの音を聞くと、皆さんもワクワクしてきたのではないでしょうか。最近では人生百年とよく言わるようになりましたが、平均寿命で考えると人生80年余り(男性81年、女性87年)の中で、この4年間の大学生活は、皆さんの人生の土台を築いていくのに大切な4年間となります。新発田には日本百名城の一つに数えられる江戸時代の新発田城があります。城の土台となる石垣の石を一つひとつ積んでいくように、ここで人生の土台づくりの学びをする覚悟をしていただきたいです。
人生は出会いで決まると言われます。この4年間の大学生活で4つの出会いを経験していただきたいと思います。第一の出会いは、本当の学びとの出会いです。大学でさまざまな学びをする中で、自分が将来生きていくのに必要な本当の学びに出会っていただきたいと思います。第二に、自分にとって大切な本当の学びを導いてくれる本当の師、人生の先生と仰ぐ人に出会っていただきたいと思います。自分の人生の師と仰ぐのは、大学の先生ばかりではないかもしれません。地域社会の活動や学びで出会った人であるかもしれません。第三に、さまざまな学びやさまざまな活動で助け合う中で、本当の友、本当の友人と出会っていただきたいです。第四に、本当の学び、本当の師、本当の友と出会う中で、本当の自分と出会っていただきたいのです。すなわち、今まで親や先生や友だちの影響によって与えられた生き方や価値観を一端脱ぎ捨てて、自分は何のため生きるのか、何を仕事にして生きるのかを真剣に考えて、本当の自分に出会っていただきたいです。
では、どのようにして本当の自分に出会うことができるのでしょうか。そのヒントの一つは先ほど読んでいただいた聖書の言葉にあります。「求めなさい。そうすれば与えられる。探しなさい。そうすれば見つかる。門をたたきなさい。そうすれば開かれる。」第一に、「求めよ」です。人の話を聞いたり、本を読んだりしているとふと疑問が湧いてきます。そこが「求めよ」の入り口です。自分の問いを大切にしてください。まず「なぜ・どうして」という「問いを立てる」力をつけてください。第二に「探せ」です。現代は何でもスマホやパソコンで簡単に検索できる時代になりました。それを入り口にして「辞書」や「辞典」を当たり、本で調べることを心がけてください。重要なことは現場にいって実際に見て経験するという経験知にしていく必要があるかもしれません。第三に「門を叩け」です。自分の問いを入り口にして調べることを徹底していくことです。「叩け」は直訳すると「叩き続けよ」です。それは「門が開かれる」まで「叩き続けよ」です。すなわち自分の問いに対して自分の納得のいく答えやその方向を見出すまで問い続けることです。さまざまな学びでレポートを書いたりプレゼンしたりする中で、このプロセスを繰り返していく中で、既製服でなくオーダーメイドの服を着るように、本当の自分に出会い、自分の生き方や価値観とは何かがはっきりしてくることでしょう。
新入生の皆さんが、受け身の姿勢ではなく、「求めよ」「探せ」「門を叩け」という主体的な学びするという積極的な姿勢をもつと「大学は面白いところに」なってきます。敬和学園大学はミッション・ステートメントにありますように、キリスト教主義・国際主義・地域主義を教育の柱にしています。すなわち「一人ひとりを大切にし、グローバルな視点で考え、地域社会で活躍する人物を育成する」ことを教育の柱にしています。とりわけ、中長期ビジョンにありますように地域社会でのアクティブラーニングを展開して、地域循環型教育に力を入れています。
その目指すところは、学生が社会人となってどのような職業についても、「人に仕える」という対人サービスを心がける点です。そのエッセンスは「隣人に対する愛の精神」すなわち、先ほど読んでいただいた聖書の結びの言葉「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」(マタイ7:7)という積極的に行動する精神です。
新入生の皆さん、皆さんが大学の主人公です。皆さんの新しい感覚と力によって先輩の在学生と共に、新しい大学づくりと新しい街づくりをしていきましょう。皆さんの大学4年間が充実した時となり、皆さんが自分らしい生き方を確立して、自分らしい生涯を送っていただくことを期待しています。そして、それぞれの場で、より生きやすい社会を築いていっていただきたいです。皆さんお一人おひとりが、しっかりとした学びを土台にして幸せな生涯を送られることを心からお祈りいたします。
2019年4月4日
敬和学園大学長 山田耕太