キャンパス日誌

留学で世界を知り、未来の目標を見つけました~メルボルン語学留学に参加して~

敬和学園大学では、充実した海外留学プログラムと奨学金制度を用意し、学生に世界で学ぶことをすすめています。留学期間は1年を限度として修業年限に組み込まれるため、4年間で卒業することができます。
「自由留学制度」を利用して、3か月のオーストラリア・メルボルンへの語学留学を行った河内智聖さん(国際文化学科3年)からのレポートをお届けします。

メルボルンに留学した河内さん

メルボルンに留学した河内さん

期間: 2023年10月30日~2024年1月21日(12週間)
留学先: メルボルン(オーストラリア)
留学種別: 語学留学

留学スタートからトラブルに

臨機応変に対応する力がつくというのはどんな留学でも言えることなのでしょうが、私の留学は、出発の飛行機の欠航からスタートしました。一人で国際線の飛行機に乗ることが初めてだったので、はじめはどうしたらよいのか不安しかありませんでした。
空港に到着して飛行機に搭乗したのですが、トラブルが発生したということで一旦降りて、その後4時間も搭乗ロビーで待たされました。まずは、メルボルン空港から滞在先のシェアハウスまで送迎してくれるドライバーさんや、留学エージェントに英語で連絡をとりました。国際電話の仕方も最初は分からずとても焦りました。その後に欠航が確定しましたが、後続便がないため各自でホテルを取らなければならず、かなり苦労しました。結局翌日の便でオーストラリアに飛び、ケアンズでの乗り換えもうまくいき、メルボルン空港までたどり着くことができました。
そばに頼れる人がおらず、一つひとつどう対応したらよいか分からずパニックになっていた上に、そのトラブルを英語を使って解決しなければならない状況でした。今思えば、ぎりぎりの状況を自分の力で乗り切るよい経験ができたと思えますし、その後の留学でしっかりと英語を身につけようという強いモチベーションにつながりました。

 

留学先での学び

私が通った語学学校では、午前中の4時間が英語の授業でした。クラスには、コロンビア、ブラジル、チリなどの南米出身の人が多く、ほかにタイ、韓国、中国などのアジア人がまばらにいました。出身地が違うだけでなく、私のクラスにはなんと70代のおばあさんまでおり、年齢層もばらばらな、まさに多様性の縮図といったクラスでした。クラスで隣になったコロンビア人に日本のアニメのことを聞かれました。日本ではマイナーで私は知らないアニメだったのですが、認知度の差も含めて外国人から見た日本を知れたことはとても貴重な体験でした。
学校の仕組みで驚いたのは、同じレベルであればクラスを変えてもよいということです。私もたまたま指導を受けた先生の方が自分に合っているように思えたのでクラス変更をしました。この制度があるおかげで、自分が伸ばしたいと思っているところを重点的に勉強でき、英語で会話することのハードルが下がりました。気軽にクラス変更ができるのは生徒にとって大きな利点です。

 

日本人の多さと出会いについて

オーストラリアでの留学生活では、思った以上に日本人との出会いがありました。これはオーストラリアが留学先として有名ということと、語学学校とシェアハウスが留学エージェントの紹介先であったからだと思います。
日本人が多いということは、私にとって良いことも悪いこともありました。シェアハウスの部屋は4人用で、私が滞在していた間に何人か入れ替わりがありましたが、ルームメイトは一度を除いて全員日本人でした。入居する前は、全員外国人だと思っていて日常生活から英語を使わなければと意気込んでいましたが、やはり日本人同士だと日本語を使ってしまうことが多かったです。
一方で、日本人同士なので言葉も文化も通じる安心感があり、深いつながりを持つことができました。ルームメイトは年齢もさまざまで、語学留学の人、ワーキングホリデーの人、旅行の人など多様で、さまざまな人生観を知ることができました。
高校で現代社会を教えていた先生と丸亀製麺の元店長からは仕事に対するがんばり方を、元CA(キャビンアテンダント)の方からはおすすめの航空券の取り方を教えてもらい、バリスタ・コースで学ぶ方からはおいしいコーヒーを淹れてもらいました。ヨガとピラティスの先生からは近くの公園で実際にレッスンをしてもらいました。私もみんなから教えてもらったことを、新たにシェアハウスやクラスに来た人に教えてあげることができたので、役割を果たせたと思います。
これらの貴重なつながりは、当たり前なのですが留学に行かなければ絶対に築けないものだったと思います。もし日本で出会ったとしても、上司と新入社員のような年齢差がある人たちとこんなにフラットに友達のように関われる機会はなかっただろうと思います。

 

さまざまな国や地域の方との異文化交流

たくさんの国や地域の方との交流を通じて驚いたのは、時間の捉え方が全く異なることです。授業が始まる時間にクラスへ入っても全体の1/4ほどしか集まっていないことが多かったです。友達の話ですが、休日にコロンビア人とチリ人を誘って遊びに出かけても、当日になって決めていた集合時間がどんどん遅く延びてしまったという経験を聞きました。こんな生活をしていると時間を守って行動する日本人の方がきっちりしすぎなのではと考えてしまうこともありました。
時間の捉え方がこんなにも違うことからも分かるのですが、オーストラリアには多種多様なアイデンティティ、バックグラウンドを持った人たちが暮らしています。留学での経験を通じて、それぞれの国の特徴を咎めあうのではなく、どうしたら異文化同士を共存させられるかを模索し続けなければならないと強く思いました。

 

メルボルンでの生活

メルボルンに到着してまず自炊をするためにスーパーに行きましたが、物価の高さに驚きました。体感ですが、日本の1.5~2倍くらいする印象でした。もちろん安い食材もあり、小麦製品やフルーツ、アボカドなどが安くてよく買っていました。日本とは気候や土壌環境が違うので、その地域が得意としている食品を食べることも海外生活の楽しみだと感じました。

メルボルンのスーパー、フルーツが安かったです

メルボルンのスーパー、フルーツが安かったです

 

また物価が高く感じたのは円安ということもあるのですが、現地で会社勤めしている人やアルバイトをしている人にとっては妥当な物価なのだと思います。なぜなら、アルバイトでさえ最低賃金が時給で23ドル (約2,200円)だからです。正社員ならもっと高いと聞きました。お給料と物価が釣り合っていない日本は見習ってほしいと思います。
またスーパーで売られているフォークとスプーンはプラスティックではなく、すべて木製でした。オーストラリアは環境保全に力を入れていて、SDGsに積極的だということを実感しました。

 

メルボルンの街並み

オーストラリアは昔イギリスの占領地だったからか、英語のイントネーションも街並みもかなりイギリス寄りである印象でした。キングストリートやクイーンストリート、エリザベスストリートなど、道の名前にもイギリス文化が色濃く残っています。

どことなくイギリスを感じさせるメルボルンの街並み

どことなくイギリスを感じさせるメルボルンの街並み

 

街並みで驚いたのは、各家の敷地内に駐車場があるのではなく、家の前や広い道路の中央分離帯のようなところに駐車場があったことです。オーストラリアは日本と違って大規模な地震などが少なく、昔の建物がそのまま残っています。建て替えている家はほとんど見なかったです。車がなかった時代の建物が多く、道路のど真ん中や家の前に駐車場ができていったのだと推測しました。長い歴史の中で使われてきた建物はとてもユニークで、変わった形だったり、飾りがついていたりと日本ではあまり見ないようなものが多く見ていて楽しかったです。

長い歴史を感じさせる建物は、見ていて楽しいものでした

長い歴史を感じさせる建物は、見ていて楽しいものでした

 

またメルボルンは都会であるにもかかわらず公園がたくさんあり、とても広くきれいに整備されていました。
公園では、人の目を気にする人が少ないのか、芝生の上で堂々と寝ていたり、地べたに座ってピクニックしている人がいたりと自由な空間でした。他人から何と思われても気にしない、自分のしたいことを堂々とできるといった国民性は、さまざまな人種が集まっているオーストラリアならではなのかもしれません。
そして驚いたことに、オーストラリアの公園には必ずBBQができるホットプレートのような調理台があり誰でも無料で使うことができます。学校のアクティビティでも使ったのですが、BBQの仕方は日本とは全然違います。日本は肉や野菜を焼きますが、オーストラリアではソーセージを焼いてパンで挟んで食べるのが一般的です。このようなBBQ台はオーストラリア人にとっては大切なコミュニティ・スペースとなっていて、毎週のようにそこでBBQをして家族や友人との会話を楽しんでいるのだそうです。

学校の友だちとBBQを楽しみました

学校の友だちとBBQを楽しみました

食パンにソーセージを挟んで食べるのがオーストラリア流です

食パンにソーセージを挟んで食べるのがオーストラリア流です

 

街中にはトラムと呼ばれる路面電車が走っており、新潟では見ない光景のため新鮮でした。フリートラムゾーンという一部料金が無料の区間もあります。語学学校がちょうどその区間内にあるため、よくトラムを使っていました。移動手段としては、電動スクーターもよく見かけました。メルボルンはシドニーほどではないのですが坂が多いため、それが普及したのだと思います。
メルボルンでよく見かける鳥も日本と違います。カラスやスズメ、ハトがいるのは日本と同じですが、聞いたことがない鳴き声の鳥もたくさんいました。友達とシドニーに出かけた際には、メルボルンでも見かけなかった朱鷺のようなくちばしを持った大きな鳥がそこら辺を普通に歩いていたことにとても驚きました。

 

クリスマスとキリスト教

クリスマスの装飾は、日本とは比べ物にならないほど本格的でした。11月から準備がはじまり、徐々にクリスマスツリーの数が増えていきました。どこのオフィスビルのエントランスにもツリーが置かれていて鮮やかでした。百貨店が立ち並ぶ街中は、巨大なリボンやサンタ帽をかぶったコアラのモニュメントが設置されていました。街総出でクリスマスを盛大に祝おうとしているのがよく分かりました。それはきっとクリスチャンの人口が多いことも影響しているのだと思います。

南半球ならではの夏のクリスマス

南半球ならではの夏のクリスマス

メルボルンの街中がクリスマスの飾りで彩られていました

メルボルンの街中がクリスマスの飾りで彩られていました

 

街のいたるところに教会があり、私も友達とクリスマスキャロルを聞きに中に入りました。
教会の中は静かでとても厳かな空気でした。聖歌隊の歌声は透明で澄んでおり聴いていて心地よかったです。計10曲のプログラムのうち4曲ほどは聴きに来ている私たちも一緒に立って歌うもので、分からないなりに歌いました。

教会に入り、クリスマスキャロルを聞きました

教会に入り、クリスマスキャロルを聞きました

 

敬和学園大学では、「キリスト教学」と「チャペル・アッセンブリ・アワー」が必修科目ですが、教会に行った時にそれらを勉強しておいてよかったと感じました。授業を受ける前はキリスト教との縁を感じられなかったのですが、学んでいるうちに少し自分に近づいた気がしました。そして留学先でクリスマスキャロルを聴きに行ったことと、語学学校でクリスチャンの友達ができたことで、さらにキリスト教を身近に感じることができました。
新潟にも外国の方がたくさんいます。日本人は無宗教の人が多いですが、仏教以外の宗教が身近でないなんてもう言っていられない時代になっているのかもしれません。私たちが気にしていないだけで、宗教由来の習慣に従った年中行事がたくさんあるのですから、他の宗教にも関心をもって双方正しく理解し配慮し合うことが、この先社会で生きていくための必須条件なのではないかと感じました。

 

日本のよさを再発見

オーストラリアで3か月生活してみて、日本が誇るべきところをたびたび再発見できました。最初にそれを感じたのはトイレです。どこのトイレに行っても、大抵は汚かったり、トイレットペーパーの端がたくさん落ちていたりと、衛生環境が良くなかったです。また温便座でないため、座ることにかなり躊躇しました。しかし日本は、どこのトイレに行ってもきれいに掃除されているし、ほとんどが温便座です。綺麗であってほしいところをちゃんと掃除してくれる清掃員の方にもっと感謝しなければならないと感じました。また、温便座のように日本のトイレにはさまざまな便利な機能がついているため、それを買い求めに日本に来ている外国人の気持ちがよく分かりました。
次に、治安についてです。メルボルンもかなり治安がいいと感じましたが、それでも登校中の小学生には必ず親が付き添い、一緒に歩いていました。街中には、ちらほらホームレスの人がいて必ずしも安全とは言えないような細い道もありました。日本の小学生は一人で通学するのが当たり前になっています。大人の相互監視の目が強いということもあるのだと思います。海外の様子を知り、日本に来ている外国人が小学生が一人で通学する様子を見て驚くことに納得できました。

 

留学を考えている皆さんへ

オーストラリアに3か月住むという貴重な経験は、トラブル含め私を大きく成長させてくれました。日本に帰りたいと思うことは何度もありましたが、それでもメルボルンに来てよかったと心から言えます。またルームメイトのおかげで、別の国にも留学するという新たな目標ができました。それも全てこの留学のおかげです。
留学すると決めた際に、応援してくれた両親や相談に乗ってくれた先生、友達に感謝しています。またメルボルンという土地がすごく私にとって魅力的でしたので、今度はワーキングホリデーに挑戦してみたいと思います。いろいろ挑戦したくなるようなことが海外にはたくさんあると分かったので、これからも日本の良さを学びつつ、海外への関心を常に持つようにしたいと強く感じました。
海外に行くことそのもの全てが学びと発見の連続です。留学したいけど迷っているという人は、英語力に自信がなくても短い期間でもよいのでぜひ挑戦してみてください。(国際文化学科3年 河内智聖)

#敬和学園大学
#海外留学
#留学
#オーストラリア
#メルボルン