キャンパス日誌
【学生インタビュー】する、されるの関係ではなく、お互いに『ありがとう』の関係が理想。
高橋奈緒子さん(共生社会学科3年)
入学当初は学びに対して積極的なタイプではなかったという高橋さん。
認知症のご家族に向けたイベントで得意な歌を披露し、とても喜ばれるという経験をしました。
このことが高橋さんの中の学びスイッチを押すことになったようです。
——— まずは敬和学園大学に入学した当初のことを聞かせてください。
「地元の新発田が大好きなので、敬和学園大学を選びました。でも共生社会学科を選んだのには、積極的な考えがあったわけではないんです。ただ、勉強をすすめてきた今考えると、母が看護師の仕事をしていたこと、それと親戚のお兄ちゃんが知的障がい者だということが、理由だったのかもしれません。成長するに従い、幼い時から一緒に遊んでいたお兄ちゃんが『障がい者』という言葉でひとつの枠に当てはめられてしまうことが分かり、私はずっと納得できないでいました。健常者と障がい者の違いって何だろうと、今でも悩み続けています。」
——— ゼミでは地域密着の活動に積極的に取り組んでいますよね。
「私は生まれてから20年間ずっと地元の新発田市に住んでいるので、『地域の魅力』と言われても、すべてが当たり前すぎてピンときませんでした。でもゼミの回数を重ねるごとに、自分の気づかなかった新発田の魅力が見えてきました。そして、地域のために取り組むべき活動を考えられるようになりました」
——— 具体的にはどんな活動ですか?
「『寄り添いカフェ』といって、認知症を予防したり、認知症の方のご家族が相談に来られるようなイベントを、月1回『まちカフェ・りんく』で開催しています。お年寄りや子供たちと一緒に楽しく遊んだり、専門職の方に参加していただいて相談コーナーを設けたり、認知症予防の運動を紹介したりしています。この活動が私の学びスイッチを押してくれました。」
——— どんなきっかけがあったのでしょうか?
「はい。私は『寄り添いカフェ』で歌を披露しているのですが、ある時、私の歌を聴いて目の前でぽろぽろと涙を流してくださった方がいたんです。『本当によかった、ありがとう』と言われて、私もすごく『ありがとうございます』という気持ちになって。自分の活動を通して、心が通じ合えたって思えたんです。そして、もっと自分がちゃんとしないと!と強く感じました。」
——— 活動を通して、入学当初と価値観や考え方が大きく変化したようですね。
「まず自分の持っている価値観を自覚して表現できるようになりました。高校までの私は、何でも周囲に合わせて安心するタイプだったんです。でも、みんながしっかり意見を言っているのに、自分だけ意見を言わないのはフェアじゃないですよね。そう思って自分の感じたことはちゃんと伝えるようになりました。」
——— 将来に向けて考えていることは?
「誰かのケアをする時は、お互いに楽しめることがとても重要だと思うんです。支援する側とされる側の上下関係ではなく、対等に『ありがとう』と思い合える関係が理想です。それが本当の意味での『共生』だと思うんです。私はこの大好きな新発田という地元のまちで、それを実現するために自分にできることを見つけていきたいです。」