チャペルのひびき

リベラルアーツの知を生きる

今年度最初のチャペル・アッセンブリ・アワー(C.A.H.)を、新入生歓迎公開学術講演会として守りました。国際基督教大学(ICU)の副学長であられる森本あんり先生をお迎えし「リベラルアーツの知を生きる」との題のもと、刺激的なお話を伺うことがゆるされました。AI(人工知能)に代表される急激な科学技術の進歩により人間存在そのもの輪郭が曖昧になりつつある現代社会にあって、リベラルアーツ課程において学ぶことの意義を深く考える機会が与えられたことは幸いでした。森本先生によれば、リベラルアーツの知とは、再帰的知識であるそうです。すなわち、この世界の中にあって自分(人間)とは何者であるかを見つめ直すことを可能とさせる知であるというのです。そのような再帰的な知の営みは、自分が変えられてゆくというスリリングな経験を伴う営み。またそれは、自らの(人間存在の)有限性(被造物性)を深く心に留めつつも、そうであるがゆえの恵みに心を開かれてゆくことでもあることを、先生は聖書(詩編8編)を引用しながら教えてくださいました。一人ひとりの学生が、キリスト教主義精神に立つ本学のリベラルアーツ課程での学びを通して、まことの人間として大きく成長していってほしいと心から願います。(下田尾 治郎)

講演 新入生歓迎公開学術講演会「リベラルアーツの知を生きる」 国際基督教大学副学長 森本あんり 先生
20180413新入生歓迎公開学術講演会

<参加学生の感想>
感想1) 今日は初めてC.A.H.に参加しました。人生でキリスト教を体感することはなく、どのようなのか不安でした。でも、森本先生のお話はとてもためになりました。東洋の人もキリスト教の考え方も似ていてびっくりしました。また、「蒼寧」の考え方を初めて知りました。
感想2) 森本先生のお話を聞いて、リベラルアーツの持つ可能性の大きさや人間のすごさ、素晴らしさをとても感じることができました。星や夜空を見て美しいと思い、3000年前から人々は上に問い、自らは何者なのかと考えていたという話を聞いて、人類の生きる長い歴史を感じたと同時に、このような感情を持つ人間に生まれることができて心から幸せを感じました。
感想3) リベラルアーツは、再帰的自己認識とつながっている。人間は有限だからこそできるというのがとても印象的だった。なぜ人間だけ「感情」などの特別な力を与えられたのか。それは、自分に理由があるわけではなく、神によるものだということを森本先生のお話を通して知りました。
感想4) 森本先生のお話は面白かったです。AIについては何だか怖いなあと思ってしまいました。実際どんどん進歩していって、人間なんていらないとなってしまうんでしょうか。でも人間にしかできないことや遠回りだけどたくさん間違う人間っていいなと思いました。空を見上げながらいろいろ考えたり、自然を知ることで、神さまを知るプロセスがとてもAIにはできないし、有限である人間であるからこそ自己認識ができることを知った。