チャペルのひびき

自然と人との豊かな共生の回復に向けて

チャペル・アワーは、金山愛子先生(英語文化コミュニケーション学科長・学長補佐)より「平和を作りだす」との題のもと、メッセージをいただきました。平和という言葉の持つ射程には、人と人との間の事柄のみならず、人と自然との関係が含まれることを、教えていただきました。平和を作るために大切なことは、弱き立場に置かれた人々の、また、動植物たちの「声なき声」に耳を澄まし、それらの存在に寄り添ってゆくことであること。自分たちの利益や豊かさを追求し、他者の声に耳を傾けることを怠るあまりに、他者を踏みにじりながら生きてしまう私たち自身の生き方を見つめ直すよき機会となりました。アッセンブリ・アワーでは、永幡嘉之先生(自然写真家)が、ご自身の撮影された美しい写真と共に、なさっておられる里山再生のための活動についてご紹介くださいました。私たちの身の回りにあった多様な生物の生息する豊かな領域であった里山。その荒廃は、人間にとっても、他の生物たちにとっても不幸な事態をもたらしています。永幡先生は、古来より日本の農村に受け継がれてきた民俗知の継承をとおして、手をかけ時間をかけつつ、里山を再生することこそが、自然環境にとっても、人間が真の人間性を回復するためにも必要不可欠であると、穏やかな口調ながらも力説されました。スライドに映されていた、永幡先生の思いに賛同し活動する若者たちの姿にも、日本の将来に対する希望の光を見る思いがしました。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「平和を作りだす」 教授 金山愛子 先生

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「里山で受け継がれてきたもの」 自然写真家、ジャーナリスト 永幡嘉之 先生

<参加学生の感想>
感想1) 今日は「平和を作りだす」という話を聞き、平和は世界だけでなく、家族や友人の間にも存在することを知った。身近なものの平和を守ることも大切であることを実感した。アッセンブリ・アワーでは“里山”という言葉自体が最近使われはじめた言葉であるということを初めて知った。ある生物だけを守るだけでは、人間と自然の共存はできないという話を聞いて、環境を守るためにはすべてを守りきらなければならないのではないかと思った。また、自然環境を守るためにさまざまなルールが設けられていたということを知って、何かを守るためには決まりごとを作って抑制していかないといけないことを実感した。自然を守ることは一筋縄ではいかないのだと思った。
感想2) 平和とは、世界の平和だけではなく、友人関係や家族など、いろいろなものが考えられるというお話が印象に残りました。私は目に見えるものばかりを気にしますが、考えてみれば、地球はとても広く、大勢の人が暮らし、多数の動物が生息しています。目立たない動物や、声をあげられない人たちのことを気にかけなければ、よりよい社会はつくれないと感じました。永幡先生のお話は、おもしろくて引き込まれました。里山で耕作放棄地が増加しているのは知っていましたが、里山が荒れると生物の種類にも影響が出る、ということは初めて知りました。ホタルと人が共存していることが大事で、人がよかれと思ってやる整備がホタルにとっては迷惑だというお話が、最も印象に残りました。
感想3) 里山とは「身の回りの自然」のことであり、生えるのに時間がかかるという大事なものであると思いました。ドラえもんの例えが分かりやすかったです。自給自足がなくなったのは、トラックが通る道ができてしまったせいであることが分かりました。里山の理解は自然と文化の両面からなので、「持続可能な方法」が大切であることが分かりました。私が住んでいる場所にも里山があるので、里山を守るためにその里山に生息している植物、虫などを守るために自分には何ができるか考えようと思いました。