情報メディア研究所

BSN吉井秀之さんの考える「放送局の未来」 – 情報メディア・キャリア講演シリーズ 2024-2

2024年1月14日、情報メディア・キャリア講演シリーズの2回目として、株式会社新潟放送(BSN)の報道制作局次長である吉井秀之氏を招いた講演「放送局の過去・現在・未来 オールドメディアの可能性とは?」が開催されました。本講演では、放送局の役割とその変遷、インターネット配信との違い、さらにはオールドメディアの可能性についてお話しいただきました。

講演する吉井秀之さん

 

放送局にとっての「放送」と「配信」の違い

講演ではまず、放送(テレビ・ラジオ)とインターネット配信の基本的な違いについて説明されました。

放送:電波を利用して不特定多数に情報を届ける。法律や規制が厳しく、主な収益源はコマーシャルやイベント告知、制作費であり、放送局の収入の大半を占める。

配信:ユーザーが視聴を選択しない限り届かない。規制が比較的緩く、主に再生回数やネット広告、分配金などによる収益で運営されている。放送局の場合、その割合はその収益は全体の3%程度にとどまる。

この違いを踏まえた上で、テレビやラジオは情報の正確性を担保する役割を持ち続けるべきであると吉井さんは強調しました。

変わりゆくメディア環境と選挙報道

講演では、選挙特番の制作についても具体的な事例が紹介されました。特に、BSNラジオとYouTubeを組み合わせた番組「開票天国」の成功が語られました。従来のテレビ選挙特番では、多額の費用と大規模なスタッフが必要ですが、「開票天国」は少人数で運営され、デジタル技術を活用して効率的に情報を届ける試みでした。

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また、近年の選挙においてSNSの影響力が増していることも指摘されました。例えば、兵庫県知事選挙ではYouTubeやSNSを活用した候補者が逆転勝利を収めたケースがあり、従来の放送メディアの限界と、ネットメディアの新たな可能性が浮き彫りになっています。

放送業界の未来

テレビ・ラジオの未来について、吉井氏は「テレビ・ラジオはなくならない」と断言しました。情報を伝える手段として、放送メディアは依然として重要であり、特に災害報道や緊急速報などでは即時性が求められるため、放送の価値は今後も続くと述べました。

さらに、「発見や疑問を電波に乗せる」「スペシャリストかジェネラリストか」「こだわりと妥協」などのテーマについて考えることの重要性も強調しました。特に「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉を引用し、大手の下で埋もれるよりも、小さな組織で挑戦する価値があると学生に伝えました。

学生の反応と学び

講演を受けた学生からは、以下のような感想が寄せられました。

「放送と配信の違いが明確になり、それぞれの役割と収益構造を理解できた。」

「マスメディアの正確性と責任の重要性を再認識した。」

「選挙特番やSNS活用の話が興味深く、新しいメディアの可能性を感じた。」

「将来の進路を考える上で、放送業界の現状と課題が参考になった。」

積極的に発言した学生に、吉井さんからプレゼント

 

今回の講演を通じて、学生たちは放送業界の現実と未来について深く考える機会を得ました。ありがとうございました。

XR技術で拡がる新たな可能性 – 情報メディア・キャリア講演シリーズ 2024-1 | 敬和学園大学 新潟県新発田市にあるリベラルアーツ大学