誰かのために生きる(3代目学長 鈴木佳秀)

男が子供を生む?![2009-05-29]

旧約聖書の原典はヘブライ語だが、その動詞組織が面白い。基本は三根字(三文字からなる基本形)で、完了形と未完了形しかない(能動態として普通の能動動詞の他、強意動詞、使役動詞があり、その受動態がそれぞれ存在し、再帰動詞を加え七つの態が両方にある)。完了形では、過去の記述、経験や完了した動作、感情、認識の表現、預言の成就(未完了形でない)、宣言等が表現される。未完了形では、未来の記述の他、未完の動作や習慣的動作、一般的事実、意思、願望や指示、禁止等が表現される。
不定詞や分詞形、肯定命令形はあるが、否定命令形そのものがない。代わりに、未完了形に否定辞を添えて禁止命令を表現する様式(十戒)がある。これにより否定命令の「殺すな」でなく、原意は「あなたが殺すはずはない」の意味に近い。
驚いたのはヤーラドという動詞で、「(子供を)生む、出産する」の意。動詞組織に三人称男性単数完了形がある。それは男が(子供を)生んだという意味である。創世記5章でこの動詞が使われているが、新共同訳は「もうけた」と苦心の訳(意訳)を添えている。使役動詞ならそれも可能だが、男が子供を生むという能動表現に、象徴的な別の意味が隠されているはずである。(鈴木 佳秀)

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