学長室だより

食べてはいけないもの・その3

食物リスト(申命記14章3節~21節)は、末尾で「羽があって群棲するもの」(19節)に触れています。これら昆虫類については、ほとんどが穢(けが)れたものとされていますが、「すべて清い羽のあるもの」(20節)は食べてもよいというのです。同類のリストがレビ記11章にあり、地面を跳躍するのに適した後ろ肢をもつものは食べてよい(21節)とされています。イナゴの類は食べていいのです。我が国でもイナゴは食料にされていますね。蜂は、食べることが禁じられていました。蜂蜜はパレスチナでは貴重な食料で(士師記14章18節他)、「乳と密の流れる地」(出エジプト記3章8節等)と形容された由来もそこにありますが、蜂の子はだめということになります。
リストの最後に「自然に死んだ動物」は食べてはならないとされていますが「あなたは、あなたの町の門の内にいる寄留者に与えて食べさせるか、あるいはそれを異国人に売ってもよい」(申命記14章21節・私訳)と勧めています。「あなたの神ヤハウエの聖なる民だからである」という結びの言葉から、一連のタブーが、自国の文化的伝統を他から峻別する、宗教的な響きをもっているのが分かります。(鈴木 佳秀)