学長室だより

2004年1月16日号

師走の14日に聖路加国際病院理事長の日野原重明先生のお話しをきいた。新潟市民病院の開院30周年記念講演会にお招きしたのだという。「生きかた上手」という演題であった。市民病院名誉院長・笹川力先生からご招待券が頂けてあった。(600の席に4,000人以上の申し込みがあったという。)日野原先生は、医療としては「患者とともにある全人格的医療」を勧められ、一般には「さわやかな生き方」を推奨された。さわやかな生き方の中心には、知恵、節制、正義への愛、勇気がなくてはならない、と説かれた。
講演後、先生は別室でわたくしに、オスラー博士講演集『平静の心』(医学書院)をくださって、「新井明先生へ/日野原重明/2003.12.14」とご署名くださった。その後、600ぺ一ジをこえるこの訳書を、わたくしは山陰への旅の往復で丁寧に読んだ。医師として、みずからに平安、自制、他者への愛を求めるオスラー博士の姿勢が、日野原先生の人生のしるべとなっていたことを学んだ。わたくしの2003年はこの日野原先生とオスラー博士との出会いで閉じることができた。いよいよ新しい年を迎えることになる。(新井 明)