学長室だより

2008年5月23日号

伊原淳(あつ)子さんが敬和のチャペルに来られてお話をしてくださったのは、一昨年の11月のことであった。「“辺境”の山岳聖地に祈る」という題であった。日本女子大学国文学科の出身で、その後どうして津南の山奥で、祈りの生活に入られたのか、詳しいことは存じ上げない。この世にあって、創造者の御心を求めつづけ、その御心を世に掲げることを生涯の目的として、ひとり僻地で生きつづけておられる。「祈れよ、捧げよ、労(はたら)けよ」 の生き方である。
この5月の連休に敬和の3年次生一人が、ここを訪ねた。新発田から自転車で3日をかけて!伊原さんのほうも驚かれたのであろう。ただちにわたしにあてて長いお便りをくださった。M君は3日目にして暖かいコーヒーにあずかることができた。歓談3時間。かれは修道院をあとにした。1年半まえに敬和のチャペルで聴いた伊原さんのお話が忘れられなくて、ついにその地にたどり着いたのだ。“solitude”という語は“loneliness”とは別だということをも、語り合ったらしい。「若者の純粋な魂に、私の心が洗われました。」(新井 明)