学長室だより

ひらがなを漢字に転換する技術

ワープロを使いながら、いつも感じることがあります。アルファベットのキーボードを使って入力し、それをひらがなで出力し、更に漢字にまで転換できる技術のすごさです。当たり前のようにキーボードを叩いていますが、この技術は世界に誇りうるものではないか、と思っています。手書きで報告書や原稿を書くことを考えると、ぞっとしてしまいます。今では、手紙も葉書もすべてワープロのお世話になっている次第です。
手書きの文字が、頁の終わり位になると、字が踊り出してしまうということは既に触れましたが、ひらがなや漢字への転換技術にほれぼれするのは、和文タイプライターで原稿を書いたことがあるからです。活字をひろいながら文章を執筆する作業は、現在のワープロに依存する時間よりも、おおよそ5倍から10倍ほどかかりました。プロのタイピストであれば、限りなく現在のワープロ使用の状態に近いかもしれませんが、修正作業は簡単ではありません。また機械が活字を拾うときの音の大きさには閉口しました。和文タイプライターを使って原稿を書いていたときに、周囲の研究室にいた同僚から、音がうるさいと苦情を言われたほどでした。手書きよりもこの方が便利なのですと釈明したことを、思い出します。
東芝製のルポを初めて見たときの感動は今も忘れていません。コンピューターで使えるワープロソフトの登場も、天にも上る気持ちで迎えたのは事実です。最終的にEGWordは生産が中止され、会社は解散してしまいました。マックのOAシステムがヴァージョンアップするにつれて、古いワープロソフトが使えなくなってしまったのです。結局、マイクロソフト社のWord一本に絞られて、今日に至っています。(鈴木 佳秀)