学長室だより

ダビデの物語・サウルの活躍その15

勝利をおさめた後、飢えていた兵士たちは戦利品の羊や牛を屠り、血を含んだまま肉を食べたとサムエル記は伝えています(上14章32節)。儀礼的には汚れた行為となり、サウル王が誓わせた言葉が守られていないことを意味します。勝手に屠らずに王のもとに来て食べよと命令が下されますが、軍規の乱れは明らかです。王は自ら祭壇を築いて儀礼をささげ、兵士たちに食べさせます。そしてペリシテに追い打ちをかけるため神託を求めました。しかし「この日、神はサウルに答えられなかった」というのです(34節~37節)。
誰かがタブーを犯したためであるとの疑いから犯人捜しを始めるのですが、くじであたったのは勝手に肉を食べた兵士でなくヨナタンでした。兵士の手前、王は彼に死罪を申し渡さざるを得なかったのです。しかし彼らが「イスラエルにこの大勝利をもたらしたヨナタンが死ぬべきだというのですか。とんでもありません。今日、神があの方と共にいてくださったからこそ、この働きができたのです。神は生きておられます。あの方の髪の毛一本も決して地に落としてはなりません」と応答したため、彼は死を免れることになります(45節)。都合次第で、神意が決められたのです。