学長室だより

歴史認識の共有を目指して

朝夕めっきり冷え込み、白鳥がシベリアから飛来する季節になりました。新潟の秋は短いです。
今国会では、安全保障関連法を制定し、アメリカとの軍事的連携を強めることになりました。しかし、この日本の選択は、かえって東アジアで潜在的な軍事的緊張を高めることになりました。緊張と対立を和らげる一つの道は、東アジアで歴史認識の共有を図ることです。大学創立25周年の戦後70年シンポジウムがそのような機運を高めることを願います。
今から14年前の2001年7月14~15日に「東北アジアの歴史像の共有を求めてⅡ」という国際シンポジウムが初日に新潟会館で、2日目に本学のS31教室で開催されました。初日は中国・韓国・台湾・ロシアを代表する歴史研究者が、2日目には日本の歴史研究者が各国の歴史認識の現状を語り、日本と各国の研究者の間で歴史認識の共通点と相違点を巡る議論が交わされました。
これらの議論はやがて各国語訳の共通の歴史教科書の作成に繋がりました。日本では『未来をひらく歴史:日中韓3国共通歴史教材』(高文研、初版2005年、第2版2006/2007年)として出版されました。またその改訂版が『新しい東アジアの近現代史:日本・中国・韓国3国共同編集〔上〕〔下〕』(日本評論社、2012年)としても出版されています。しかし、最近のこの数年間の日本の情勢は、また逆戻りしている感がします。(山田 耕太)