学長室だより

2021年度入学式式辞(山田耕太学長)

式辞を述べる山田学長

 

新入生の皆さん、保護者の皆さん、敬和学園大学ご入学おめでとうございます。今年は例年より2週間早くキャンパスのソメイヨシノが満開です。ソメイヨシノばかりでなく、早咲きの河津桜も寒緋桜も遅咲きの枝垂れ桜もすべて一斉に満開しています。こんなことは31年前の開学以来、初めてのことです。まるであたかも桜も皆さんの入学を歓迎しているかのような光景です。

今年の入学式はコロナ対策を十分にした上で、この体育館で初めて開催することになりました。例年は新発田市民文化会館で入学式を行ってきました。昨年は緊急事態宣言が出される前後で入学式は行えず、その代わりに5月に全面遠隔授業が始まってリモートで入学礼拝を行い、初めて分散登校してきた6月に入学記念植樹式で河津桜と寒緋桜を植えました。皆さんも昨年はコロナ禍の中で困難な高校生活を送られてきたと思います。改めて大学入学おめでとうと申し上げます。今年は来週17日土曜日にこの体育館で私の高校の同期生でTVでもおなじみの池上彰君が皆さんに向けて新入生歓迎の講演をしてくれます。楽しみにしてください。

さて、入学式の始まりを告げた先ほどのトランペットのファンファーレからいよいよ大学生活が始まりました。この大学生活は平均寿命で数えるとこれから70年近く生きる皆さんの人生の土台作りの4年間だと考えていただきたいと思います。この大学生活がお一人おひとりにとって豊かなものとなるために、心掛けていただきたいことが3つあります。

第1に、小学校から高校に至るまで多くの学校での授業は、先生が一方的に語って黒板に書くことを生徒がノートに取ることに象徴される「受け身の学び」が中心だったと思います。大学の授業は教員ではなく学生が中心です。皆さんは「受け身の学び」(passive learning)ではなく「積極的な学び」(active learning)の姿勢を身につけることを第一に心掛けてください。自発的・主体的・積極的な姿勢を身につけると大学はおもしろいところになります。積極的に求め続け、探し続ける姿勢をもちましょう。そうすると自ずと門が開かれてきます。

第2に、「受け身の学び」から「自発的・主体的・積極的な学び」へと変わるきっかけは何でしょうか。それは「問いをもつこと」「疑問をもつこと」です。大学での学びに限らず地域社会での学びでも大切なのは、「問い」をもつことです。「問い」をもちながらそれを「なぜ」「どうして」という問題意識に深め、さらに自分なりに納得できる解決方法を模索していくことです。一つの授業の中でもさまざまな問いをもつことでしょう。その中で自分にとって最も大切な一つの問いをレポート課題として取り上げることを心掛けましょう。4年間の学びの中でさまざまな問いをもつことでしょう。その中で自分にとって最も大切な一つの問いを自分の将来への課題として「卒業論文」や「卒業研究」として取り上げていくことを心掛けましょう。

第3は、先ほど読んでいただいた聖書の言葉「狭い門から入りなさい」(マタイ7:13-14)についてです。「多くの人が入る広い門の広々とした道」とは違う「狭い門の細い道」についてです。この箇所はしばしば日本では、大学入試の難関校の「狭き門」というたとえに用いられてきました。しかし、本当はそういう意味ではないのです。この世には光に至る「命の道」と闇に至る「死の道」という「二つの道」の生き方があるのです。これは多くの人が選ぶ生き方とは違う「命の道」を選びなさいという勧めの言葉です。すなわち、多くの人とは違う、あなたしかできない、あなたらしい生き方をしなさいという勧めです。「人皆に美しい種あり」という言葉があります。人は皆、心の内に「美しい種」をもって生まれてきたのです。多くの人は自分が何のために生まれてきたのか、何をするために生まれてきたのかという「美しい種」に気づかずに成長します。しかし、思春期に多くの人と出会い、多くのできごとを経験し、多くの学びと出会う中で、やっと自分の内に種が芽生えていたことに気づきます。大学時代はあるがままの自分を素直に受け入れた上で、自分らしく生きていく方向づけをするのに極めて大切な時期です。友達や家族や先生や地域社会や国際社会の人々から教えられながら、自分で自分自身を育てていくことに心掛けてください。やがて訪れる岐路に立たされた時に自分らしい生き方の道を選んでいきましょう。

皆さん一人ひとりが「はかりしれない恵み」「驚くべき恵み」(Amazing Grace)に満ち溢れた生涯を送る土台づくりができますように、心からお祈りいたします。

2021年4月5日
敬和学園大学長 山田耕太