キャンパス日誌

【卒業生リレーエッセイ32】~シンガポールの企業で活躍する横田政秀さん~

言葉を超えて必要となる国際力

横田政秀

シンガポールの仕事仲間と


ある朝「今晩こっちに来てくれないか?」とシンガポールの社長から突然の連絡が入り、太陽が沈む前に何とか飛行機に飛び乗ったあの日から始まったシンガポールの生活が、早くも2年の時を刻もうとしています。
現在私はシンガポールで不動産業に従事しています。ここは小さな都市国家ながらも世界中のさまざまな国の文化や人々が入り混じる人種のるつぼ。交渉を喧嘩のように行う中華系の人々やこちらの常識が一切通じないインド系の人々など、ビジネスの世界でも通り一遍には進まない事柄ばかりの中、何とか楽しみながら日々仕事をしています。多民族が入り混じるこの国では、英語でコミュニケーションを行うことは息をすることと同程度の意味しか持たず、これをスキルと呼ぶ人は我々日本人くらい。シンガポールのような国際社会でそれ以上に必要なのは、文化や人種の違いを受け入れ柔軟に対応する力、いわゆる「国際力」であると感じつつも、ここではその「国際力」も、むしろただの日常でしかないこともまた事実です。また、ここでは「diversity(多様性)」と言う言葉が多用されますが、オフィスにターバンを巻いてくる人々や、豚を食べたら地獄に行くと信じ豚を食べられない人、太陽が昇っている間は水も口にできない時期がある人々など、多様な文化が混在しています。このような環境を、良くも悪くも私は日本で経験したことがありませんでした。
現在、敬和学園大学には50名以上の留学生が在籍していると伺っています。非常に国際色豊かな大学になっていることを卒業生として誇らしく思うと共に、とても貴重な国際経験が提供されていることに羨ましさも感じてしまいます。皆さまがこのすばらしい教育環境でコミュニケーション能力のみならず国際経験も積みつつ、広く世界に羽ばたく人材となることを心から期待しつつ、いつか世界のどこかで偶然同窓生にお会いすることを楽しみにしています。(2003年度卒業 横田政秀さん)