チャペルのひびき

平和を学ぶ

チャペル・アワーは、宇田川潔先生(本学副理事長)がご自身に関係の深い幼稚園における卒園式のお話しを通して、キリスト教主義教育の精神について教えてくださいました。神さまの眼の中にあっては、皆、等しく尊いものとされていること。一人として同じ存在はこの世界には存在しないが、どの人も、神さまに等しく愛されていることを心に留めることができました。アッセンブリ・アワーにおいては、4月より本学で教鞭をとられている石坂誠先生(共生社会学科准教授)が、長野県にある戦争にまつわる二つの記念館についてご紹介くださいました。戦前・戦中の無謀な国策によって中国大陸に移民していった人々の(またその移民によって土地を奪われた中国の人々の)消息を伝える阿智村・満蒙開拓平和祈念館。もう一つは、学徒出陣によって命を散らされた美術学校の学生さんたちの絵画を集めた上田市にある無言館。いずれの記念館の展示も、戦争の悲惨さと平和の尊さを、(たとえパワーポイントを通してであったとしても)観る者の心に重く訴えてくるものでした。「平和は戦争がないというだけではない。暴力と差別と貧困に苦しむ人がなおざりにされているなら、たとえ戦争がなくても、その状態は真の平和とは言えない」との、石坂先生の言葉も心に残りました。聖書は、小さき者、弱き者、貧しき者、虐げられている者たちを心から慈しむイエスという方を指し示しており、その方を「平和の君」と呼んでいることも、心に留めていただきたく思います。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「愛するって?」 副理事長 宇田川潔 先生
20190621チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 新任教員スピーチ「平和へのメッセージ・フローム長野~送った側の悔恨と送られた側の思い残し~」 准教授 石坂誠 先生
20190621チャペル・アッセンブリ・アワー2

<参加学生の感想>
感想1) 宇田川先生のお話で、卒園式のテストの話がとても印象的でした。神さまはどんなに上手にできる子も下手になってしまう子も、勉強ができる子もできない子も、運動ができる子もできない子も、すべての子どもを愛すということを子どもたちに教えているところに感動しました。小さいころから自分の存在意義を知ることはすごくよいことだと思いました。
感想2) 「戦争」は「不幸なもの」の象徴だと認識していました。石坂先生のお話を聞いて、今まで「戦争がない世界」=「平和」と考えていましたが、そうではないと改めて考え直しました。終戦後日本国内で戦争が70年以上も行われていない今、「平和ボケ」という言葉が聞こえてきます。実際、貧困、差別など平和とは言えない問題がこの日本にはたくさんあります。それに目を背け続けるのはどうだろうか。
感想3) 石坂先生の話された「無言館」に行ってみたいと思いました。なぜ無言館なのだろうかと思ったが、何も語らない絵から思いを感じ取る人もそれを見て無言になるから「無言館」なのだと、よく考えられた深い名前だと思いました。