チャペルのひびき

私たちもまた戦争の生き残り

チャペル・アワーでは、新約聖書の「エフェソ書」を通して、イエス・キリストこそが隔ての中垣を壊し、一つになりえないものを一つに結ぶまことの平和の君であることを学びました。また、同じ聖句の中にある「心に留めなさい」との言葉に込めたパウロの意図について、考えてみました。イエス・キリストの福音の光により、闇の中から光の中へと移されたエフェソの教会の人々に、近現代の日本の歩みを重ねながら。私たちの国日本は、かつて軍国主義政策のもと、泥沼のような侵略戦争へと足を踏み入れてゆきました。結果として、とりかえしのつかぬほどの悲しみと痛みを、近隣の諸国民のみならず、自国民にももたらしてしまったのでした。そのような希望なき闇の中から、多くの犠牲を払って、平和主義憲法を掲げる、戦争をしない国へと日本は生まれ変わったのです。このことの恵みを「心に留め」つつ、悲惨で罪深き戦争を二度としまいとの決意を胸に刻みたく思います。戦後に生まれた私たちも、戦禍の中を奇跡的に(かろうじて)命をつながれた「戦争の生き残り」であることを覚えつつ。引き続く、アッセンブリ・アワーでは、沖縄、広島、佐渡の各地にて、夏の間に開かれた平和学習プログラムに参加した学生たちが、実り多き学びと経験をシェアしてくださいました。本学に学ぶ一人でも多くの学生が、このようなプログラムに参加し、「平和を創り出す者」としての幸いな歩みを始めてほしいと願っています。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「だから、心に留めておきなさい」 宗教部長 下田尾治郎 先生
20191004チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 広島・沖縄・佐渡 平和学習プログラム報告
英語文化コミュニケーション学科4年 早瀬友
国際文化学科3年 井口望都
20191004チャペル・アッセンブリ・アワー2

英語文化コミュニケーション学科2年 前田涼
20191004チャペル・アッセンブリ・アワー3

<参加学生の感想>
感想1) 下田尾先生から戦争下の日本の話をしていただいた。戦後に生まれ、戦争を体験していない私たちに、戦争の恐ろしさを知っている人からの話を受け継いでいくことは大切なことだと感じた。私たちも次の世代に戦争の怖さを伝えていくべきであり、戦争は昔に起きたことだとは思わずに、これからも戦争を起こしてはならないのだと改めて感じた。「だから、心に留めておきなさい」という言葉の中にこのことがあるのだ。
感想2) 下田尾先生が幼いころ自分たちは戦争を知らない子どもたちと表現されていたとおっしゃたことに、とても驚きました。戦争が終わって70数年たち戦争経験者が少なくなっている。下田尾先生の世代でさえ、その上の世代から、そのように言われてきたことにハッとした。実際に戦争を経験された方々が時間と共に少なくなっていく。自分が年をとり、下の世代に戦争を語り継いでいく必要があるのに、今の私には圧倒的な知識不足と戦争や平和に関係する場所に行った経験が少ないので、この平和学習プログラムに参加して自分の言葉で平和について語れるようになりたいので、このプログラムに参加したい。
感想3) 下田尾先生と平和学習プログラムに参加した学生の皆さんの話を聞いて、信じ難い戦争の現実を突きつけられてゾッとしたと同時に、心に留めておきなさいという言葉の重みをずっしりと感じました。今という日が平和であることのありがた味を感じざるを得ません。
感想4) 下田尾先生の「今は希望とはかけ離れた場所にいるとしても、神は私たちを必ず明るい場所に連れ出してくれる」という言葉が印象的でした。
感想5) 平和学習プログラムに参加した学生の皆さんの発表を聞いて、戦争を風化させてはならないと感じました。私はこれまで戦争の資料館や講話を見たり聞いたりしたことがありません。なので、どちらかと言えば風化に加担している側といえるかもしれません。生きているうちになどと悠長に構えずに一歩踏み出す時に来ていると感じました。