チャペルのひびき

他者の痛みを自分事として 

チャペル・アワーのメッセージを担当してくださったのは、宇田川潔先生(本学副理事長)でした。先生は、総合商社に勤務されていた時代に、駐在されていたトルコ共和国と日本の深い関わりについて教えてくださいました。二つの国の交流のきっかけは、明治時代。天皇謁見のための日本訪問を終え帰路についたトルコ軍艦のエルトゥールル号は、紀州沖にて嵐に遭遇します。その際に近隣の大島村の人々が、命を懸けて救難にあたり、多くの命が失われるも、69名の命が救出されたのでした。その後も、全国を回って集めた義援金を山田虎次郎という青年がトルコに届けるなどして、トルコの人々に対する哀悼と連帯の意を伝え続けたとのこと。そのことにより、トルコの人々の日本に対する親近の情は今に至るまで保たれていることを、先生は伝えてくださいました。聖書に教えられている、他者の痛みを自分ごととして心を寄せることこそ、平和の礎となることを覚えることができました。その一方で、歴史上、日本の国策により、痛みを被った人々もが近隣の国々には多くいることを忘れてはならないことでしょう。過去の過ちを記憶することもまた平和の礎を据えることだと思うのです。アッセンブリ・アワーでは、長谷川政樹先生(トキエア株式会社代表取締役)をお迎えし、地域創生事業としてのトキエアの取り組みについてお話を伺うことができました。所有する航空機が4機の小さな航空会社でありながらも、大きな夢を抱き、地域の活性化を目指してさまざまな形での挑戦を続けておられるトキエアさんの姿に、本学の姿が重なるように思え、勇気をいただくことができました。(下田尾 治郎) 

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「愛が世界を動かした」 学校法人敬和学園 副理事長 宇田川潔 先生

Ⅱ. アッセンブリ・アワー
講話 「地域航空 トキエアの役割」 トキエア株式会社代表取締役 長谷川政樹 先生

<参加学生の感想>
感想1) 長谷川先生のお話では、生まれ育った地元を出て違う人種、異なる考えに触れ自分を見つめ直すということを学んだ。長谷川先生の実体験であったように、日本はどんどん人口が減少していて、問題になっているけれども世界には日本よりも人口が減っている国がありそれでも経済は回っているという、島国にいたら分からないことだ。そしてこれに習って模倣するべきだと。そういう考えがあった。周りの環境により夢を諦めざるを得ない状況になっても50%でもいいから諦めず挑み続けるというお話を聞いて改めて継続するということの重要さを学んだ。
感想2) チャペル・アワーでお話のあった、エルトゥールル号が遭難した際に乗組員を日本人がボランティア精神を持って救助したというできごと、ユダヤ人に対するサマリア人の隣人愛から、他人の痛みに心を寄せて、その人の力になろうと誠心誠意努めることが、隣人を愛することであると学んだ。また、アッセンブリ・アワーでは、トキエアでは「夢を諦めない」という目標を掲げ、「新潟発」の航空会社として、本当に多くの課題を解決しながら利用者にとって便利で安心できるような取り組みを行っていることを知った。それにはさまざまな苦労を伴うと思うが、開拓者として常に進化し続けたいという姿勢で、新しい発想、利用者の意見を大切にしながら取り組んでいるということ、その姿勢には感銘を受けた。隣人を自分のように愛することは難しいとは思うが「隣人」となること、常に進化し続けること、自分に悪い所、欠点があれば常に改善する意識を持つことを、これからの目標、大切なこととしたい。