学部・学科ブログ
経済産業省主催「福島★復興グランプリ」に参加しました!
10月7日~9日に福島県内を中心にして経済産業省、PwCあらた、INSPIREが主催する「福島★復興グランプリ」が開催され、共生社会学科から2人参加しました。福島★復興グランプリとは、福島県の被災12市町村をフィールドとした復興まちづくりアイデアソンです。2泊3日の合宿形式で行われ濃密なプログラムを体験しました。参加者は、「クラフト・アート」、「自然・スポーツ」、「テクノロジー」の3つのテーマから1つを選び、テーマに応じてNorth(飯館村、南相馬市、浪江町、川俣町)、West(葛尾村、田村市、川内村)、South(双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町)のいずれかのエリアに行きました。今回私たちはWestコースとSouthコースにそれぞれ参加しましたので、その経験をまとめました。
Southコース(報告者:斎藤)
初日は双葉町にある「FUTABA Art District」で壁画アートを展示している施設を見学しました。このプロジェクトは、原発事故後に避難指示が出された双葉町の空き家や商店街に壁画アートを描くことで、町の魅力や歴史を発信しているところです。
壁画アートは国内外の有名なアーティストや地元の高校生などが手掛けており、どの作品も色鮮やかで迫力があるものばかりでした。数多くの作品の中で、私は原発事故後の双葉町の未来像を描いた「FUTABA Future」という作品が印象に残りました。その作品には太陽光パネルや風力発電などの再生可能エネルギーが活用されている双葉町の様子が描かれており、双葉町が目指すこれからのまちづくりを知ることができました。
次に大熊町の「大熊インキュベーションセンター」に向かいました。
大熊インキュベーションセンターは、旧大野小学校を整備して再利用している起業支援施設です。この施設では、大熊町を実証・実装の場として自社の事業を成長させたいと考える企業・起業家が集まり、共創し合うための場所として、あるいは将来的な事業化と町内への事業所・工場立地に向けたステップアップを目指して、中期的に大熊町に拠点を設置する事業者が入居していました。施設内には、町民や来町者が自由に利用できる交流スペースや、起業準備中の学生やクリエイターら向けのシェアオフィスやコワーキングスペース、町内や県内で事業に取り組む事業者が使える貸事務所などがありました。さらには様々なイベントやセミナーも開催されており、地域の新産業創出や交流人口拡大に貢献していることを知りました。また、原発事故後の町の姿や復興計画についてもお聞きし、復興と産業創出の両面から大熊町を再生しようとする取り組みを学ぶことができました。
最後に富岡町の街並みを見学しました。富岡町は2023年4月1日に避難指示が解除されたばかりです。そのため訪問した6ヶ月前までは町全域が避難区域だったため、未だ震災当時の様子がそのまま残されていました。そのため町はまだまだ静けさを保っており、その静けさが逆に震災の被害の大きさを物語っているようでした。外見は特に変わったところがない建物も、既に10年以上も放置さおり、中を覗くと猪等に荒らされた後や草木が勢いよく生い茂っている光景を見ると、改めて言葉では表現できないような複雑な感情になりました。
放置されている自動販売機を見ると、もう売っていない飲み物や2011年3月の広告があって、震災発生直後から時が止まっているような現実を実感しました。
フィールドワークの後は、価値創造型アプローチに基づいて、突き抜けた復興まちづくりを実現する事業アイデアを参加者とともに出し合いました。 価値創造型アプローチとは、自分たちが提供する価値や顧客に与える体験に着目して、イノベーションを起こすアイデア創出方法の1つです。
私たちのチームは、アメリカの発展を促進したルート66になぞらえて浜通りを縦断する国道6号線をルート6として、隣接する町ごとにメンバーそれぞれのやりたいことに町を挙げて取り組むという案を提案しました。例えば、双葉町では壁画アートをさらに増やして「FUTABA Art District」を全国的に有名にし、大熊町では大熊インキュベーションセンターを核として新しい産業やビジネスを育て、富岡町では富岡製糸場の世界遺産登録を活かして観光客を呼び込むというように、それぞれの町の特色や資源を生かした事業を展開するというものです。このようにして、ルート6を通る人々に福島の復興の姿を見せるとともに、町民の自信や誇りを高めることができると考えました。
残念ながらグランプリを取ることはできませんでしたが、社会人の方と意見交換をしたりアイデアを出し合ったりする貴重な経験ができたと思います。福島の復興に関心を持ち続けて、今回の学びを生かしていきたいと思います。
WESTコース(報告者:岩城)
私は期間中フィールドワークや懇親会などで交流を深めながら福島県内の12市町村の現状について考えました。1日目のフィールドワークではJヴィレッジがあるいわき市や原発被害が大きかった双葉町に行きました。Jヴィレッジは日本初のナショナルトレーニングセンターで東日本大震災が起きるまでサッカー日本代表の拠点となっていましたが、東日本大震災が起こった2011年から2016年まで施設が避難所として使われており、その期間で福島県が復興する様子や施設を見学しました。
2日目のフィールドワークでは、かわうちワインとして知られている川内村の農園、田村市のビジネスの拠点となっているテラス石森や入水鍾乳洞を見学しました。2日目で印象に残っている施設はテラス石森です。テラス石森は旧石森小学校をイノベーションした施設です。コワーキングスペースやイベント会場として田村市をはじめ市内外から利用できる施設となっており、趣味やビジネスの交流の場となっています。
3日目はこれまでのフィールドワークを振り返りながら各グループに分かれ価値創造型アプローチに基づいた事業アイデアを出し合いました。私たちのグループは福島12市町村の課題をクリアしながら最終ゴールの入水鍾乳洞を目指す「リアルRPG」という事業アイデアを提案しグランプリを受賞しました。
私は今回のフィールドワークを通し全国各地のみなさんと福島の復興について真剣に考えました。参加者のほとんどが社会人だったので私がその議論に入れるかどうか不安でしたが、勇気を出して自分から話しかけることができたので貴重な経験となりました。これまで福島県内の12市町村を訪れたことがなかったのですが、震災から12年が経過していた今でも住んでいた町に戻れない人や震災当時の家がそのまま残っている現状を見て、改めてこれからも福島の復興に携わっていきたいと思いました。そのためにもメンバーとの話し合いを継続し、事業案を実現させることによって少しでも福島の復興に貢献したいと思います。
英語文化コミュニケーション学科 4年 齋藤悠太
共生社会学科 3年 岩城侑大
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