学長室だより

2008年3月14日号

いま3月上旬、学長室の窓から周りの田圃を見下ろすと、何十羽かの大白鳥が田の面(も)にくちばしを突っ込んで、一生けん命に何かを食べている。田にモミの類が残っているのを知っているのであろう。
新発田から遠くない瓢湖(ひょうこ)へ行ってみた。阿賀野市水原(すいばら)。もともとは新発田藩主が17世紀前半に造った農業用水池なのだという。何種類かの無数の鴨(かも)が音をたてて群れていて、その中に体長1.5メートルにもなる大白鳥の姿が混ざる。白鳥は早朝、家族単位で餌を求めてここを飛び立ち、夕刻戻ってくるのだという。全体は何千羽、と説明にある。新発田の冬田に群れる白鳥も、夕刻にはここへ戻ってくるのだろう。白鳥は3月下旬に、約5ヶ月を過ごした瓢湖を後にして、北極圏に面するシベリアの一帯にもどるのだという。4千キロの道のりを。しかし、体調を崩した何羽かはここに残るという。
3月末といえば、学園は卒業期である。ほとんどは人生の道のりの、遠くを目指して、巣立ってゆく。しかし、留まる者たちもある。早く力をつけよ!飛び発てよ!(新井 明)